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 ドアが開かれると、中には光沢のある布が幾重にも垂れ下がり、水晶のような結晶がいくつも飾られているのがまず見えた。

 その下には案内してくれた女性の他に、オレンジの目玉が半分以上飛び出た出目金のような容貌や海なのに鯉のように大きな口をもった個性的なシーマームの人々がいた。



『シーマームの方々は奥にいる方ほど聡明で個性的でいらっしゃいます。その容姿に驚かれるでしょうが、それは先方もわかってらっしゃいますので、魔素を抑えられなくても気にされませんように。』



 講義をしてくれたグレゴリーさんの言葉が浮かぶ。

 その時は昔図鑑で見た深海魚の個性的なフォルムを思い浮かべていたんだけど、そのままではないにしろ遠からずってことだったみたい。



 シーマームさん達は皆さん姿形は違っても、小さいけれど硬そうな鱗に腕にも足にも大小のヒレのようなものがついている。

 案内してくれた女性以外は男性ばかりなのか、それとも女性もいるのかはちょっとわからない。



 シーマームは種族的特徴として男女の区別がしにくいらしく、名前と一緒に誰の娘、息子と名乗ってもらうまでは同じシーマームでもわからないことが多いと、少し前に出会ったアルディアさんが言っていたっけ。

 伴侶のルーシィさんはそれでかなり苦労したみたいだけど、私も間違えてしまって失礼なこと言っちゃうかもしれないから気をつけよう。



 こっそり気を引き締めていると、席に案内されて、皆揃った所で挨拶になった。

 最初はシーマームの長さまからの挨拶だ。



「ようやくお会いできましたことを心より喜んでおります。シーマームの代表を務めておりますガランの息子、デランと申します。」



 デランさんは男性らしい。目が飛び出てるとこ以外は私の想像してた半漁人らしい容姿で、少し横に長いお顔の横に大きなヒレのような耳がついている。

 分厚い唇の大きめの口からは細かく鋭い歯が覗いていて、水かきのある指とヒレのある手を広げて、魔素と共に歓迎の意を示してくれた。



「シーリード族トカゲの一族次代の家長クルビスです。こちらは伴侶のハルカ。この度はシーマームの里にご招待いただき感謝いたします。」



 クルビスさんがシンプルだけど感謝を伝える魔素と共にデランさんの挨拶に答える。

 次は私だ。クルビスさんにならって礼を取って。



「伴侶の里見遥加です。どうぞ遥加とお呼び下さい。」



「可愛らしいお方ですね。衣装も素晴らしい。」



「ありがとうございます。」



 今回は挨拶する数が多いので、代表のシーマームの長さまとクルビスさん以外はどのひとも挨拶は名前だけ名乗ることになっている。

 これからお互いこの場にいる同行者の紹介を順番にするのだけれど、マーメイドドレスの花嫁衣装も褒めてもらったし、室内の魔素も良い感じで幸先がよさそうだ。

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