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洞窟を抜けると、周りが一気に明るくなった。
外に広がってたのはお菓子みたいなパステルカラーの塊。
「綺麗…。」
白く明るい空間に、淡いピンクや緑や水色をした円筒型の建物が不規則に斜めに突き出す形で並んでいる。
全体的にパステル調の色彩で、キラキラ光を反射しててとても綺麗で思わずつぶやいていた。
「ふふ。ありがとうございます。」
私のつぶやきを拾った案内役の女性が目を細めてお礼を言う。
クルビスさんも目を細めながらギュッと手を握ってきて、私を褒めてくれてるみたいだった。
今、思わず言っちゃったけど、褒め言葉だし良かったんだよね?
うん。クルビスさんも頷いてくれてるし、次代のトカゲの一族の家長の妻として、OKな発言だったみたい。ホッとした。
事前に淡い色を好む魚人の里ではあまり驚かないようにと指導は受けていたけれど、実際見るとまた違うものだよね。
後ろに続くひと達も声には出さないものの皆驚いてるようだ。
「長の館はこちらのカレジュです。どうぞ。」
案内の女性は洞窟を出て一番近くにある淡いグリーンの建物を指さした。
カレジュって家って意味だっけ。叩き込んだ情報を引っ張り出しながらついていく。
入口は私としては普通に感じる木製のドア。
でも、ここが海の底だということを考えるとすごい違和感だ。
もしかして、ここで木製のドアってものすごい高級品なんじゃない?
建物の形は地上と違って跳ね上げ式ではないって聞いていたけど、材質までは教えられてなかったなあ。
案内に従って進むと、思った以上に奥に長い通路があって、私たちはその最奥に向かってるようだった。
あれ。少し下に傾斜がある?地下に向かってるのかな。
建物が斜めに突き出てるから、通路も斜めとか?そんな馬鹿な。
でも、変わった建物だよねえ。ただの岩というには材質がつやつやでキラキラした粒が混じってて、まるで宝石みたいだ。
海の輝石みたいに、海の中の鉱物もキラキラするのかな。
異世界に来てずいぶん慣れたと思ったけど、また驚くことになりそう。
照明らしきものは見当たらないけど、中は明るい。
床も光ってるように見えるし、もしかして、建物自体が光ってるとか?
さすがに照明なんかに関しては教えてもらってないから、その辺はよくわからないけど。
あ。木製のドアだ。目的地に着いたのかな。