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「ハルカ。」



部屋を出ようとすると、クルビスさんに手を差し出される。

ああ。はい。転移陣には他の地区の代表の方もいますもんね。



蜜月だからか、クルビスさんは見知らぬ相手と私が一緒にいるのを嫌がる。

特に隊士さんだと、魔素が強いから体色も濃いし、部分的にでも黒を持つひとだっているから、余計に嫌がる。



こういう時こそ、前もって考えてたあれを実行する時!

手を繋いて、クルビスさんににこっと微笑む。大丈夫ですよ。目移りしたりしませんから。



ぎゅ。



あれ。目の前が真っ暗になった。

抱きしめられてる?



「…他のやつには笑わないでくれ。」



あ。ダメだった。

かえって嫉妬を煽っちゃった。



でも、魚人の里で歓迎されたら、笑顔でお礼くらい言わないといけないだろうし、笑わないっていうのはちょっとなあ。

歓待されて咄嗟に出る笑顔まで責任持てませんよ。



「…今のはクルビスさんにだけですよ?」



だから、挨拶でかわす笑顔は数えないで下さいね~。

交流にいくんですからね?ね?



「あの。周りに他のひとがいると不安かなあって思って、やってみたんですけど、やらない方が良かった「いや。やって欲しい。」…はい。」



妥協を感じる魔素だ。

うん。挨拶くらいなら大丈夫そう。



にしても、いきなりで驚かせちゃったか。

失敗失敗。



旦那さまが神経質になってる時期は、もっと気を遣わないといけなかったなあ。

これから事前に話すようにしておこう。



「…ゴホン。そろそろよろしいですか?」



クルビスさんの腕から解放されてみると、呆れた様子のフェラリーデさんと困った顔で微笑むアニスさんがいた。

後ろで迎えの隊士さんが固まっている。



「ああ。行こう。ハルカ。」



「え、ええ。」



しまった。

他にひとがいたんだった。



うわあ。恥ずかしい。

うう。多少いちゃいちゃに慣れてきたとは言っても、さすがにまだ人前で抱き合うのはちょっと。



恥ずかしくて顔を上げられない私を上機嫌のクルビスさんが支えながら部屋を出る。

転移室は同じ階の部屋にあって、部屋の前には同行するひと達が揃って待っていた。



「ああ。来た来た~。準備出来てるよ~。まずはクルビス君たちから送るから~。」



その前でひと際目立つ金髪のエルフ、メルバさんが手を振って私たちを出迎える。

さあ、いよいよ魚人の里に出発だ。

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