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日差しがジリジリと焼け付くように変わって、日中より朝と夕に出歩くことが多くなってきた頃、魚人の里にクルビスさんと挨拶に行くことになった。
ルシェモモと魚人の里の間は時期によって潮流が入り乱れるそうだけど、今年は潮流が整うのが遅くて各方面の調整に苦労したとルシェリードさんがゲッソリとして教えてくれた。
ちなみに、行くのは私、クルビスさん、メルバさん、フェラリーデさん、アニスさんがメインメンバーとしてすでに決まっている。
さらに他の地区の隊士さんも護衛としてつくことになってるんだって。
それが面倒の種だったみたいだけどね。
クルビスさんがこっそり教えてくれたけど、私たちの訪問は特別で、観光地としてでなく、奥向きの場所に行く機会はそうあるものじゃないらしい。
だから、私たちの訪問についていって、滅多に地上に出ない魚人の里の代表者らと、各地区の守備隊の代表者の顔つなぎもしておきたいという思惑もあって、誰を選ぶかでもめたそうだ。
街をあげて皆で協力したお式の時と違って、どの一族を選ぶか、どの地区から何人選ぶかでバランスが変わるだろうから、難しい問題だと思う。
こういう時はドラゴンが間に入って調整するそうだけど、日程が決まった途端、各一族からの要望がうるさく集まって、とうとうルシェリードさんにまで話が回ってきたのだとか。
ご迷惑おかけします。
おじい様。
でも、各一族の思惑とかをこっそり教えてもらえて助かったかも。
同行するなら、そういうのもちゃんとわかってないとね。
同行すると言えば、メルバさんにはルーシィさんの一件以来合ってない。
今回の訪問には一緒についてきてくれることになったから、長のお仕事も前倒しになったのでとても忙しいらしい。
らしいというのは、フェラリーデさんから聞いただけで、未だにメルバさん自身には会ってないから。
もう数日もしたら出発なんだけど、当日無事に会えることを祈ろう。
私の方はといえば、大事にしまっておいた衣装を来て微調整したり、歩き方の練習をしたりと式の前と変わらない日常を過ごしている。
結婚してからよく食べてたから衣装が入るかなって心配だったけど、驚くことにちょっと痩せていた。
「筋肉がついたんですね。転移局のお仕事は力仕事ですから。」
アニスさんに言われて、前より引き締まったウエストを撫でる。
そういえば、腕も心なしか太くなったような。袖のないドレスで良かった。