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「アルディアさん、あの、それでは水菓子って、シーマームの皆さんのお口には合わない場合もあるんでしょうか?」
これは今聞いておかないとまずい。
そう思ったら、口から出ていた。
「いいえ。我らシーマームは砂糖を好みますので、砂糖をたくさん使う水菓子は好まれると思います。」
「そういえば、お砂糖を固めたお菓子を昔頂いたわ。とても美味しかったのよ。」
「ヒガシですね。元は深緑の森の一族のレシピなのです。きっかけは存じませんが、幸運にもレシピを教えて頂くことが出来て、それがご縁で、砂糖を深緑の森の一族の方々から定期的に買い付けるようになったと聞いています。」
認知度の低いお砂糖を定期的に?
メルバさんが売りこんだのかなあ。頑張ったんだろうな。
「そうなんですか?蜜はどうでしょう?」
「そうですね…。蜜よりは砂糖ですね。甘いものが良いというより、砂糖の魔素がシーマームに合うようなのです。」
海の種族とお砂糖と相性がいいって、何だか不思議。
それなら、水菓子が手土産でも大丈夫かな。
「それなら、水菓子が手土産でも大丈夫そうね。」
同じことを思ったイシュリナさんが、代わりに言ってくれる。
それにアルディアさんが頷く。
「ええ。とても喜ぶと思います。ただ、長の館への挨拶なら数が必要になると思います。館の皆に分けなければいけないのですが、水菓子は小さいので、ひとり1つになると思います。」
安心した途端、次の不安が。
数って、たくさん必要ってことかあ。
トカゲの一族のお披露目で作った時くらい、とか?
うわあ。大変だあ。
「ちなみに、どれくらいの数が?」
「そうですね…。長の館なら、まあ、50もあればいけるかと。」
50!多いけれども、まあ、それくらいなら。なんとか。
あ。でも、私一人じゃ難しいから、ルドさんにお願いしてみようかな。
「ハルカ。手が必要ならルドに頼むといい。手伝うつもりのようだったから。」
クルビスさん。情報ありがとうございます。
そっか。手伝って下さるつもりだったのなら、お言葉に甘えちゃおうかな。
「あら。それなら私も手伝うわ。今回は私は一緒にいけないし、ドレスも式と同じものを見たいって言われてるんでしょう?それじゃあ、何も仕度してあげられないし、何か手伝わせて頂戴。」
イシュリナさんまで。
ありがとうございます。
3人もいれば、50個くらい前の日に準備するだけで済みそう。
お砂糖の魔素って長持ちするから、こういう時便利でいいよね。
「ありがとうございます。助かります。」
助っ人も得たし、後は日にちが決まってから、材料の準備をして…。
忙しくなりそうだ。