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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
ドラゴンの料理人
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 落ち着いたルーシィさんの様子に周りがホッとしていると、外から何か聞こえてくる。

 ここは部屋の入口には布がたらされているだけだから、外の声が良く聞こえる。



「あら。あなたの伴侶が来たみたいね。」



「え。誰が知らせたんでしょう。」



 イシュリナさんが言うと、ルーシィさんは慌てたように入口を見る。

 余裕がないのか、魔素が普通より大きく感じられて、私でも近づいて来てるのがわかる。



 それでも、ルーシィさんの伴侶さんは、ルシェリードさんやフィルドさんのように極端に魔素が大きくないから、ドラゴンの一族じゃあないみたい。

 立ち上がろうとしたルーシィさんをルシェリードさんが止め、代わりにフィルドさんが外に出る。



「もう少し静かに。今落ち着いた所だよ。」



「あ、あの。俺のルーシィは!?」



「無事だよ。君が魔素をもっと抑えたらここを通そう。」



 穏やかに諭すフィルドさんの声に反応して、見知らぬ魔素が抑えられていく。

 声といい、魔素の感じといい、何だか知ってるような気がするんだけど、気のせいかな?



 クルビスさんを見ると、目を見開いて入口を見つめている。

 私にはわからないけど、クルビスさんには相手がわかったみたいだ。やっぱり知り合いなのかも。誰なんだろう。



「失礼します。ルーシィ!」



「アル!来てくれてありがとう。」



 入って来たのは、腕に小さなひれのついた真紅の鱗の男性だった。

 鱗はあるけど、尻尾はない。シーマームだ。



 私のシーマームの知り合いと言えばひとりしかいない。

 料理教室に参加してくれたアルディアさん。



 ルーシィさんの旦那様だったなんて。

 クルビスさんも知らなかったようで驚いている。



「良かった。お願いだから無理はしないでくれ。君がいなくなったら、俺は消えてしまうよ。」



「アル…。ごめんなさい。」



 一瞬でピンクな空気に。

 ラブラブだなあ。



 あ。クルビスさんが手をギュッと握ってきた。

 うん。帰ったら私たちもいちゃいちゃしましょうね。でもここではダメ。



「よく来てくれたわ。さあ、立ってないで座って?もうすぐ長もいらっしゃるから、お腹の子も見て頂きましょうね。」



 慣れてるのか、ラブラブな二人にイシュリナさんがお茶を淹れながら声をかける。

 アルディアさんはそこでようやく私たちに気づいたようだった。



「ルシェリード様、皆さまお久しぶりです。この度は伴侶と子をお助けいただきありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。」



「迷惑など思ってもいないよ。だが、ルーシィはもう少し自分の魔素を抑えるようにしなくてはな。母の魔素は腹の子に影響する。」



「とても危険な状態だったんだよ。長がいらしたら、すぐに見てもらおうね。」



「はい。すみませんでした。」



 胸に手を当て感謝を告げるアルディアさんに、それにならって頭を下げるルーシィさん。

 ルシェリードさんとフィルドさんからは心配そうな魔素が強く感じられた。



 実際あのまま魔素をまき散らしてたら、お腹のお子さんに何かしらの影響があっただろう。

 すでに何か影響を与えてるかもしれないし、早く見てもらった方がいいよね。



 メルバさん早く来ないかなあ。

 いつも転移で瞬間移動みたく来るのに、今日はどうしたんだろう。

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