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「しゅ、主役って、どういう…。」



「主役ですよぉ!東の大通りの劇場の新作ですぅ!」



「キャサリンさん。落ち着いて。」



「ハルカさんは何もご存知ないみたいですよ。」



 混乱する私と大興奮のキャサリンさんを見かねて、デリアさんとカイザーさんが間に入ってくれる。

 落ち着いたところで話を聞いてみると、この前の事件のことをモデルに新しい劇の脚本が出来たということだった。



「え。でも、それっていいんですか?」



「ええ。私も脚本を見せて頂きましたが、事件の関係者はほとんど関係ない内容でしたから、あれなら大丈夫でしょう。」



 ほとんど関係ないって、うん?じゃあ、私が主役って?

 疑問が顔に出ていたのか、カイザーさんがにこやかに説明を続けてくれる。



「一番の見せ場は、遥加さんをモデルにしたある女性技術者が嫌がらせで石を投げられるのですが、それを自分の作った調理器具で叩き落す場面ですね。技術が確かなので、その調理器具には傷もつかず曲がりもしないのが、また評判になって出世の道が開けるんです。」



 あれですか!

 あんなのが劇の見せ場になるなんて…。



 それで私が主役かあ。

 成る程ね。意味がわかった。



「あれが見せ場に…。」



「もともとはぁ、ゼフさんの働いてる劇場の支配人さんが、事件のことを聞いて心配して様子を見に来て下さったんですってぇ。それが、詳しい話を聞くうちに、勇ましいハルカさんの活躍に感銘を受けられたそうでぇ。クルビス隊長に直談判してぇ、許可をもぎ取られたんですぅ。」



 まだ呆然としてる私に、落ち着いたキャサリンさんが今度はきっかけを教えてくれる。

 クルビスさんに直談判っていつの間に。



 勇気あるなあ。その支配人さん。

 ゼフさんの働いてる劇場って、前は犯罪組織が隠れ蓑にしてて、その後、たしか詐欺師が隠れてたんだっけ。



 新しい支配人さんや他のひとは関係なかったんだけど、風評被害でお客さんが減ってるんだよね?

 じゃあ、きっと珍しい演目で新しい流れを作りたいんだろう。



「そういうことですか。たしか、お客さんが減ってるんですよね?」



「ええ。捕まった3つ以外は関係なかったと公表されましたが、やはりこの短い期間に何度も、となりますと。」



 私の質問に、カイザーさんもため息とともに教えてくれる。

 うん。しばらくは近づきたくなくなるよね。



 劇場をつぶそうって話もあったらしいから、状況はかなり悪いんだろう。

 あの機嫌の悪かったクルビスさんに突撃するくらいだもん。後がない感じが伺える。



「それだけじゃないんですよ。転移局の嫌がらせのこともあったので、そのことにもとても怒って下さって。だから、劇の内容も大きな商会に圧力をかけられた技術者が、周りと協力しながら乗り越えていくという筋書きなんだそうです。」



 今度はデリアさんが別の情報を教えてくれる。

 ああ。風刺も入ってるんですね。



 現場には他の転移局の関係者もいたみたいだし、今回の話と関係してるって普通は考えるだろうな。

 まだ事件のことは公表されていないはずだけど、十分話題になってるだろう。



 びっくりしたけど、そういうことなら応援したいな。

 自分がモデルの劇なんて、ちょっと恥ずかしいけどね。

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