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 まあ、いいやと開き直って甘えたおしたおかげか、共鳴したのが良かったのか、私の職場復帰はその2日後だった。

 手土産に水菓子を作って持って行くと、皆さん入口でまってくれていた。



「ハルカさぁぁん。良かったですぅぅぅ。」



「お元気そうで何よりです。」



「おはようございます。ご回復おめでとうございます。」



 すでに大泣きのキャサリンさんに、ホッとした様子のデリアさんとカイザーさんに入口の前で出迎えられる。

 数日のことなのに、久しぶりの転移局と皆の顔を見てホッとする。



「おはようございます。今日からまたよろしくお願いします。」



 その場で簡単な挨拶をしていると、騒ぎを聞いたご近所さんも集まってきちゃって、気がついたら結婚式の時みたいに通りが色とりどりの体色で埋まってしまった。

 どうしよう。動けないんだけど。



「ハルカ様、ケガしたんだって?」



「もう平気なんですか?」



 私のケガのことはかなり広まっていたらしくて、口ぐちに出てくる心配そうな言葉と魔素に大丈夫だと言って回っていたら、朝の受け渡しの時間を大幅に過ぎてしまった。

 みかねたカイザーさんが言ってくれなかったら、お昼までそのままだったかもしれない。



 その場でクルビスさんとは別れて、私は職場に復帰した。

 遅れた分、荷物の転移と手渡しが大変だったけど、それもなんだか嬉しかった。



「うっ。うっ。すみばせぇん。安心したら、止まんなくってぇ。」



 私の姿を見ると目が潤んでしまうキャサリンさんを宥めつつ、お客さんが落ち着いた所で早めのお茶にすることにした。

 持って来た水菓子でキャサリンさんに魔素を補給してもらう。



「おいひいですぅ。」



 食べると落ち着いたのか、キャサリンさんの魔素が明るく元気になってくる。

 良かった。ルドさんに無理言って厨房を貸してもらったかいがあった。



「お怪我はもうよろしいようですね。」



「はい。この通り、傷痕ももうありません。」



「すごいですねぇ。長さまの治療ですかぁ?」



 傷痕がない足を見せて大丈夫だと説明すると、浮上したキャサリンさんがキラキラした目で聞いてくる。

 メルバさんは名医だから、確かにその治療のおかげでもあるんだけど、ここまで回復したの理由はもう一つ。



「ええ。メルバさんの治療が的確だったのと、伴侶との共鳴が良かったらしくて、最初に言われてたよりずいぶん早く回復したんです。」



「ハルカさんとクルビス隊長の共鳴はすごいですもんね。」



 デリアさんが感心して、他のふたりも頷く。

 普段は自覚無いけど、今回は私もそう思った。



 傷口をふさいだとはいえ薄皮一枚のことで、肉がくっつくにはしばらくかかると言われてたんだけど、不安定になったクルビスさんが共鳴しまくったことで1日でほぼ完全にくっついてしまった。



 さすがのメルバさんも「早すぎない~?」と驚いていた。

 ただ、共鳴も魔素を使うので、傷がふさがった後は共鳴禁止で安静にしてるように言われて、嫌がったクルビスさんを宥めるのが大変だったけど。



「そうみたいです。普段は意識してないんですけど、1日で歩けるようになるとは私も思いませんでした。黒の魔素は治療と相性がいいみたいなんです。」



「はあぁ。すごいですねぇ。あ、すごいと言えば!ハルカさん、劇の主役になりますよぉ!」



 え?劇?

 え、主役って、えええええ!?

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