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それから数日、傷が完全にふさがるまでクルビスさんに放してもらえなかった。
これは予想してたから良かったんだけど、周りからはかなり怒られてしまった。
主にクルビスさんが。
今回の件でフィルドさんやメルバさんの動きが早すぎたことで、他の隊長さん達にはクルビスさんの夢のことがバレてしまったからだ。
「ったく。可能性が低かろうが、言えっつーの。そういうことは!お前は何でも抱え込み過ぎなんだよ!」
怒ったシードさんに文句を言われ。
「誰にでも言えることではありませんからね。ですが、今度からはちゃんと相談して下さいね?…ね?」
フェラリーデさんに脅され…いやいや、説得されて。
「まあ、何にしろ無事で良かったってことだな。ハルカさんもよくあんなごついもん叩きのめせたよ。この実、床にめり込んでたぜ?」
キィさんに呆れられながらも感心され。
「ハルカさまも危険だとわかっていて、その状況について行かれるのは良くありませんよ?長も、ご存知なら、どうにかして引き留められればよろしいのに。」
リリィさんにメルバさんと共に懇々とお説教され。
「珍しい能力ですし、有名な家長さまの能力でもありますから、中々言えないですよね。私も自分の『声』のことはずいぶん長い間誰にも言えませんでした。」
唯一、キーファさんだけが理解を示してくれた。
公にはされていないのだそうだけど、彼はドラゴンと青の一族の混血で、純血を尊ぶ青の一族ではずいぶん虐げられていたらしい。
そして、ドラゴンの血が強く出たのが、その魔素と背中の羽と声で、特に声は本気になれば街全体に影響を及ぼす術を言葉にするだけで放てるのだとか。
自分の歌で花が咲いたり枯れたりすることに、子供の頃はひどく怯えていたらしいけど、ドラゴンではたまに出る能力だと知ってからは気が楽になったそうだ。
驚きの情報も聞くことになったけど、大半は心配して言ってくれたことだったので、クルビスさんも私も神妙に聞いていた。
一緒に怒られたメルバさんには後で謝ったけど、「気にしないで~。今回のことは僕も悪いから~。せめてディー君には言っとくべきだったね~。」と笑ってくれた。
きっと転移局でも心配されてるんだろうな。
無事だったことと、ケガは数日で治ることは伝えてあるけど、職場には早く復帰して無事だったと自分の口から伝えたい。
すっかり職場にも馴染んだし、早く働きたいって思ってる。
クルビスさんには心配されそうだけど、そこはそれ、想定済みなので甘えて強請ってうんと言わせるつもりだ。
人前は無理でも、二人っきりなら可愛く甘えたり出来るようになったしね。
うん?クルビスさん、何キラキラした目で見てるんですか。あれ?共鳴してる…。