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「まあ、それで、ハルカちゃんがこの実のことを気にしてるみたいだけどね~?池や沼で採れるものをわざわざ武器に使うなんて、水辺に住んでなきゃ思い付かないもんだけど、そういう止まった水に固執する子たちがいたの、憶えてる~?」



 いよいよ本題だ。

 止まった水に固執する…。憶えがある言葉だ。



 たしか、そう、雨季の時だ。

 街がテロリストに狙われて、その一味だった元青の一族の狂信者の集団だ。



 一族の祖っていうひとを盲信してて、かのひとの模様を真似て目の周りに黒い縁取りを刺青してるんだっけ。

 そして、湖や沼なんかに住むのが最も良くて、川沿いに住むのは邪道だとかいう滅茶苦茶な理論で昔からルシェモモの街を破壊しようと狙ってきてるやつらだ。



「雨季の時の、狂信者ですよね?」



「そう~。わざわざ採るのが面倒なこの実を使うなんて、止まった水に拘るあの連中のやりそうなことだよね~。」



 珍しく嫌そうな顔をしてメルバさんが説明してくれる。

 成る程。それで納得がいった。



 ああ。だからクルビスさんは私を置いて、そのことを知らせに行ったんだ。

 でも、それならメルバさんが最初に言えばいいのに。



「何で僕が言わなかったんだって顔だね~?ふふ。僕もね。この実のことは知ってたけど、どうやって成長するのかは知らなかったんだよ~。」



 意外。メルバさんでも知らないことってあるんだ。

 何にでも興味を持つし、調べようとするタイプだと思うんだけど。



「ビスの実はね~。ある日突然、山の方にある池に現れたんだ~。それも、100年前くらいのことでね~。」



 100年前かあ。かなり昔だけど、ここでは10年くらい昔のイメージだろう。

 突然ってことは、これも異世界トリップしてきたってことだろうな。



「調査を任されて、一応、調べはしたんだけどね~。未熟な実は採取出来たんだけど、熟すと、ハルカちゃんが言うように底に落ちるみたいでね~。当時は花と実の数が合わないのが不思議だったんだ~。



ただ、怪しい連中の姿も目撃されたからね~。当時はそれ以上調査が進まなかったんだよ~。だから、陸でも育つのか、水辺でしか育たないのか自信がなくてね~。採れる場所が変われば、犯人像も変わっちゃうから~。」



 怪しい連中って、件のテロリストたちかな。

 多分そうなんだろうな。そりゃ危険だから、調査も続けられないだろう。



 でも、突然現れた植物に、メルバさんは異世界から来たんじゃないかって予想はしてたわけだ。

 で、知ってる様子の私に詳しいことを聞いて、確認を取ったと。



「それで、どこでどう育つか聞かれたんですね?」



「そう~。ホントにちょっとしか調べられなかったからさ~。ハルカちゃんの池や沼で育つって話で確信が得られたってわけ。ホント、助かったよ~。」



 あー兄ちゃん、昔の遊びが役に立ったよ。

 大量の菱の実をどこからか取ってきた時は何やってんだかと思ったけど、兄ちゃんから聞いた菱の実の知識は役にたったよ。



 それにしても、あー兄ちゃんはどこでそんな知識を仕入れてきたんだろう。

 それに、あの時の菱の実はどうやって手に入れたんだか。我が兄ながら謎が多いわ。

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