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「ハルカさん!クルビス!」



 治療が終わってまったりしてると、藍色の影が飛び込んで来る。

 フィルドさんだ。中央でお仕事なさってるはずなのに、どうして?



「は、無事か。」



「大丈夫だよ。治療も今終わったとこだし、2つとも安定してる。」



 周りはあんまり驚いてないから、私のケガを守備隊の誰かが知らせてたのかな。

 お義父さまはメルバさんの言葉を聞いて、クルビスさんを見てホッとした様子だ。



 ああ。そっか。忘れがちだけどまだ蜜月だから。

 クルビスさんが伴侶のケガに我を失わないか心配して来て下さったんだ。



「良かった。本当に…。」



 フィルドさんのため息がどれほど心配をかけたのか教えてくれる。

 下手したら魔素が暴走してたかもしれないもんね。



 蜜月の時のドラゴンは伴侶に対してものすごい執着と愛情を見せるけど、反対に伴侶を失う危険に対する恐怖も、どの種族や一族より強く持ってるそうだ。

 だから、蜜月の時は巣に籠って外に出ないし、伴侶が傷つくことがないよう抱え込むらしい。



 でも、いろんな事情があって、クルビスさんと私は蜜月を街中で普通に仕事しながら過ごしている。

 ドラゴンの血の濃いクルビスさんは、ドラゴンの一族と同じく籠るか伴侶とくっついたままだろうと思われてただけに、周囲にはとても驚かれたのは覚えてる。



 そのせいで、雨季の時に巣籠りして蜜月は終わったんだろうと思われて、雨季の後は仕事の勧誘がすごかったんだよね。

 いろんなひとにすごいと言われるけど、実際は、メラさんの教育のおかげで、さらには、結婚式の頃からいろいろ事件が起きたせいで、仕事せざるをえなかっただけなんだけど。



 そんな状況で夢のお告げがあって、心配してたところに私のケガだ。

 誰でも最悪の事態を想像するだろう。



「ああ。早くメラに知らせないと。ハルカさんもクルビスも無理してはいけないよ。安静にね。しばらく、ふたつでゆっくりしたらどうだい?」



「いえ、まだ犯人も特定できていませんので。」



「捕まえたんだろう?」



「それが違うんだよね~。外から様子を伺ってたのは転移局の関係者だけど、ハルカちゃんの足に打ち込まれたのって、これだから~。」



 メルバさんが見せてくれたのは手の平に乗ったいびつな三角錐。

 木の実みたいだなあ。あれ踏んだら痛そう。



「菱の実みたい…。」



「ビスのこと~?」



 ビスっていうんだ。でも、形は菱の実そっくり。

 何で知ってるかっていうと、あー兄ちゃんが「忍者ごっこだ!」といってどこからか調達してきたのを見たことがあるから。



『まきびし』のひしがこの実を使うことから来てるってその時教えてもらったんだよね。

 我ながら、いらん知識だけはいろいろあるなあ。

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