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 クルビスさんにもたれるようにすると、ギュッと抱きしめられる。

 心配かけてるなあ。私より気分悪そう。



 周りの皆さんも顔色悪いし。

 心配かけちゃったなあ。



「やっと着いた。…は、長さま、行くなら俺も連れてって下さいよ。」



 入口を見ると、息を切らしながらキィさんが入ってきた。

 何でキィさんが?と思ったけど、クルビスさんの魔素のせいだと思い当たる。



 隊長さん達は今日ここに私たちがいる事情を知ってるから、通報があって、すぐにクルビスさんか私に何かあったんだろうって思い当たったんだろう。

 そして、メルバさんが治療に行ったから、フェラリーデさんは残ってキィさんが確認に来たってところかな?



「ハルカさんがケガしたのか?大丈夫か?って、なんだこれ?床にめり込んでるじゃねえか。」



 こちらに来ようとしたキィさんが床に何か見つけたようだ。

 あ。もしかして、私が咄嗟に叩き落としたやつじゃ。



「あ。それ、ハルカさんがこれで叩き落としたものです。」



 見ていたらしいカイザーさんがキィさんに手にあるものを見せながら説明する。

 フライパンみたいなのを持ってる。



 どうやら私は咄嗟にフライパンを握ったらしい。

 まあ、叩き落とすにはいい形だよね。



 あ、でも、あれって商品だよね?

 鍋なんかは壁沿いに作られた棚に置かれてるけど、フライパンなんかの小物は台の上に陳列されてた。



 今日は私たちが来るから壁際に移動されてたけど、一番近くにあったものを手に取ったみたいだ。

 うわあ。商品壊しちゃったんじゃない?



 自分がケガをしてる時にのんきだと思うけど、フライパンに床のヒビが見えると、リックさんとゼフさんに謝らないといけないって思った。

 いや、だって、商品に加えて店内破壊って…。弁償ってどれくらいかかるんだろう。



「あの、リックさんゼフさん、すみませんお店と商品を壊してしまって。」



「いいえ。お気になさらないで下さい。それより酷いケガなのですから、早く治療を受けて下さい。」



「そうです。床は直せばいいし、商品とて、私が作ったものです、あの程度では歪みもしません。」



 ゼフさんの言葉にギョッとして、もう一度フライパンを見る。

 聞こえていたらしいカイザーさんが手に持ってるフライパンをマジマジと見て、目を大きく見開いた。



「本当ですね。真っ直ぐなままです。」



 うそお。だって、私の手がしびれるくらいの衝撃だったのに。

 結構大きな音がしたし、床にめり込んでるのを見ても、フライパンが無事なんて信じられない。



「さっすがゼフさん。良い腕だわ。」



 ルイさんがため息のようにつぶやく。

 もう腕がいいとかそういうレベルの話じゃないような。



 あれ。皆頷いてるし。

 もしかして、話について行けてないのって私だけ?

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