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 ヒュンッ



 そんな音が聞こえたのは外に出るため、警備の隊士さんが先にドアを開けて外を確認に出た時だった。

 話合いの邪魔をされないために閉めていた表のドアから、外の空気が入って来てホッとした瞬間。



 グラリと視界が揺れた。

 同時に足に激痛が走る。



「!」



 息を飲んだのはシェリスさんだろうか。

 一瞬のことだったのに、何故かわかる。



 そして頭の中で警報が鳴り響いた。

 私の危機察知警報、久々に仕事したな。なんてことを頭の片隅で考えつつ咄嗟に身体が動くままに任せる。



 あー兄ちゃんのおかげで、喧嘩で負けた相手に逆恨みで襲われたり、決闘したサルに追いかけられたり、巣を壊されたハチにロックオンされたりと、身の危険を感じたのは10や20じゃきかない。100はあるかも…。



 そのせいか知らないけど、危機を感じて行動しないといけないときに頭の中で警報がなる危機察知警報に加え、咄嗟に体勢を整えて逃げようとするクセが身についてしまっていた。



 だから、こういう時は身体が動くままに任せるのが一番良いと知っている。

 動く方の足を出して踏ん張って、顔を上げる。



 目を背けるのはNGだ。

 危険を認識出来ないと逃げられない。



 咄嗟に手にふれた物をつかんだと思ったら叩きおとすように振っていた。

 するとゴオンという音と手にしびれが走ったと思ったら、ビキイッという嫌な音がする。



「ハルカ!」



 そこまでが一瞬で、気がついたらクルビスさんに抱きしめられていた。

 あ、れ?い、いだだだだ。足が痛ーい!



「ハルカさん!」



「ハルカさぁん!大丈夫ですかぁ!」



「足が!」



「し、止血をしないと。」



「あ、い、イス。イスだよ!」



「ああ。はい。イス、イス。」



「箱くっつけて寝かせよう。こっち持ってろ。」



 大騒ぎだ。

 もしかして、今の私の状態って結構酷い状態?



 あ。じゃあ、クルビスさんがやばいかも。

 私を抱き上げるクルビスさんに、ギュっとしがみ付く。



 痛いけど、ものすんごく痛いけど、大丈夫ですよ~。

 意識あるし、今動かしたら足の指動いたし。平気です。



 だから、怒らないで~。

 魔素を抑えて~。



 最初だけで周りが静かなのはきっとクルビスさんの魔素に怯えてるからだと思うから。

 ていうか、シェリスさんやルイさんもいるんだから。抑えてください。



 倒れたらどうするんです!

 こっち見る!



「クルビスさん!」



 うわあ。いつも細長い瞳孔が丸みを帯びてるし。

 こ、怖い。けど、えいっ。ほっぺにちゅっ。



 あ。固まった。よし。

 額にちゅっ。目元にちゅっ。顎先にちゅっ。



 軽いバードキスを繰り返しながら、共鳴を意識して自分の魔素は穏やかであるよう努める。

 怯えちゃだめ。怖がってるのはクルビスさんなんだから。



 最後に口にちゅっとして目を見る。

 うん。いつもの爬虫類の目に戻ってる。



「クルビスさん。とりあえず、座りましょ?」



 足が痛いんで。さっきよりマシになってるけど。

 私の言葉にハッとなるクルビスさん。



 さっきまでイス替わりに使ってた箱が並べられて、簡易のベッドになっている。

 その上に私をそっと乗せると、周りがホッと息を吐いたのがわかった。



 怖かったでしょう?すみません。

 結局夢の通りになっちゃったなあ。



 何とかなるかなって思ってたんだけど。

 甘かったな。夜にでもクルビスさんに心配かけてごめんなさいって謝らなきゃ。

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