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「だめだ。」
うん。予想通り。
もう一度話してみようってことで、私だけ執務室にお邪魔して話してみたんだけど。
皆で行くことになったって言ってもだめかあ。
でも、後をつけてきたひとのこともあるし、私たちだけで残るのも不安なんだよね。
「ええっと。今日みたいにたくさんのお客さんが来て、その中に後をつけてきたひとが混じるとやっかいなので、出来れば皆一緒に「だめだ。」…だめですか。」
ぶった切られちゃったよ。
普段のクルビスさんなら、こんな返事の仕方は絶対しないのに。
よっぽど、夢のことがトラウマになってるんだろうな。
私が倒れるってことしか聞かされてないけど、この反応からすると、もしかしてもっと酷い光景を見てるんじゃないだろうか。
「あー。転移局なら、明日は閉めた方がいいとは俺も思うぜ?後をつけてきた奴らに関しては報告受けてるしよ。」
見かねたシードさんが会話を勧めようと助け舟を出してくれる。
クルビスさんはむっつりと黙り込んだままだ。うーん。どうしよう。
カッカッ
貝のノッカーが鳴る。
誰だろう?カイザーさん達は下で待ってるはずだけど。
「よお。ちっといいか?」
キィさんだ。
手に持ってるのは、手紙?
「これ、今日ゼフじいさんから預かってよお。魔素がどうもハルカさんのみたいだから、事情聞きにきたんだよ。」
え。私?
見せてもらった手紙はシェリスさんが描いたもので、私がミネルバ工房に送った見積書だった。
「私が送ったものです。ミネルバ工房宛ての見積書ですね。」
「あ~。そっか。じゃあ、これが例のやつかあ。いや、ルイのことが思った以上に広がっててな?たまたま家に戻ってたじいさんが、北西の転移局の消印ついてるのに見積もりだけの手紙見つけて、ルイのウワサも聞いてたもんだからやな予感したらしくて、俺に相談してきたんだよ。で、見覚えのある魔素が残ってるから、もしかしてと思ってな?」
ああ。ルイさん。
話がどんどん広まってます。ホント、どうしよう。
「私が送った手紙に間違いないです。受付も転移もやりましたから、魔素は残ってると思います。だから、本当は私も行って証言した方がいいんです。それで、出来れば、転移局の皆で明日謝罪に行こうって話になってて、クルビスさんにお願いしてるんですけど…。」
ちらり。うう。クルビスさん目を閉じちゃってる。
これは無理かなあ。