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そんな話をしながら食べてたら、料理はあっという間になくなった。
果物がメインといっても、十分にボリュームのあったから、お腹は一杯。
「ふうぅ。お腹一杯ですぅ。」
「こんなにたくさん果物を食べたのは初めてです。」
「少し食べ過ぎてしまいました。いくらでも入ってしまいますね。」
キャサリンさんは満足げにお茶を飲み、カイザーさんはにこにこと笑っている。
デリアさんは食べ過ぎたのかお腹をさすっていた。
うん。本当に美味しかった。
果物って食事のメインに出来るんだなあ。
「ね~。食べ過ぎちゃうよね~。」
「かなりの量でしたのに、味付けも繊細で。」
「ほんに。大味になりそうな所を丁寧な仕事でしたな。」
「さすが北の守備隊じゃ。」
エルフからも大絶賛。
後でルドさんに教えてあげよう。
そこから、どれが美味しかっただの、果物の感想だの言い合ってると、カイザーさんがメルバさんに向き直る。
ん?何だろう?
「長さま。お気遣いありがとうございました。おかげ様でゆっくり食事を楽しめました。」
感謝の魔素がこっちにまで伝わってくる。
カイザーさんも同じこと思ってたんだなあ。
「気にしないで~。僕らも注目浴びちゃうから、ここを借りたんだし~。」
「うむ。近隣の者も来ておったし、わしらがおるとわかったら、さらに小うるさい者も集まるでな。」
「うむうむ。そうなっては、せっかくの食事が台無しじゃ。」
「どれも素晴らしい料理じゃった。」
最後だけ違う感想が出て来たなあ。
まあ、果物めあてで集まったんだし、食べるの邪魔されたくないよね。
「でもでもぉ。本当に助かりましたぁ。下もご近所さんが集まってましたからぁ、落ち着いてご飯食べられなかったかもしれませぇん。」
「本当に。昼間もすごい騒ぎだったので、下で食べていたら、きっと話を聞きたいひとに捕まってしまったでしょう。ありがとうございました。」
キャサリンさんとデリアさんも感謝の魔素と友にお礼を言う。
うん。そうだろうな。昼間のあの騒ぎだと、下で食べてたら捕まっただろう。
夜はお酒飲むひとも多いから、絡まれたかもしれない。
守備隊の中で物騒なことはないだろうけど、それでも落ち着かなかったと思う。
「楽しんでくれたなら良かったよ~。ホントは隊士だけで消費するはずだったんだけどね~。思った以上の果物が来て、ご近所にも配らないといけなくなっちゃったから、しょうがないよね~。」
「そんなにたくさん来たんですか?」
「うん。保管庫3つ分だって。保管庫ってこの部屋より大きいんだよ?それが3つ分。そりゃ、食べきれないよね~。」
ええ。それって送られるにしては非常識な量じゃ。
他の皆も驚いて目を見開いている。やっぱりおかしいよね?
「ちょっと季節外れの嵐があってね~。結構大きいって事前に分かったから、ダメになる前にって大量に収穫することになっちゃったんだよ~。半分以上中央と東が買い取ったんだけど、消費しきれないってことになってね~。」
それで、北にも回って来たと。
じゃあ、今日はどこの守備隊でも果物づくしなのかも。