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水色の紐に茶色っぽい黄色みの強い石が幾つもついている。
お花みたいな編み込みが数か所にあり、真ん中に石が付いてたり、そこから長く垂らした紐の先や真ん中にも石がついていて、可愛らしくて綺麗なストラップだ。
男性が身につけるようなものには見えないなあ。
どっちかというと、女性用に見える。
これはカバズさんがキャサリンさんにってあげるはずだ。
相手も何を思ってあげたんだろう。
「これは…。長、キィ、見て頂けますか?この飾り石の部分です。」
受け取ったストラップを観察したフェラリーデさんは、すぐにメルバさんとキィさんに渡す。
それを受け取ったメルバさんは目を細め、覗き込んだキィさんは首を傾げていた。
「ん~。ずいぶんすり減ってるね。これは、増幅、かな?この細かいの、キィ君わかる?」
「周りから魔素を集めるやつですかね?すげえ細かい細工だ。高そうだなあ。」
魔素の増幅?集める?
それってただ一人の術士として頑張ってたキャサリンさんにピッタリだ。
でも、カバズさんは術式には素人のはずだし…。
そもそも貰い物だって言ってたけど、何でカバズさんに?
「そういう術式だったんですねぇ。知らないやつだったから、下手に身につけない方がいいって思って、ポーチに入れたままでしたぁ。」
そのまま忘れてましたけどぉ。っと笑って言うキャサリンさん。
その言葉にメルバさんが頷く。
「それで良かったよ。これ、勝手に起動するタイプだね。っていうか、この真ん中の石の部分、たぶん、大昔に僕が作ったやつだ。まさか、ここでまた見ることになるなんて。」
珍しく、顔をしかめたメルバさんが問題発言をする。
周りがギョッとしているのを見て、慌てて説明し出した。
「あ。治療用に作ったやつだからね?すっごく昔に。当時、魔素の発動不良の患者がいてね。その子のために作ったものなんだけど、全然違う形にされてるからわからなかったよ。ずいぶん削っちゃって。」
元の石を削って、形を変えてわざわざ作ったってこと?
じゃあ、このストラップって高いんじゃない?
「じゃあ、わざわざ形を変えてそんな細工をしたなら、高いものですよね?」
「そうですね。石の形を変える技術者と、飾りを作る技術者は別ですから。良い品だと思います。」
私のつぶやきをカイザーさんが拾ってくれる。
高いんだ。それを一介の技術者のカバズさんにあげた。
う~ん。不自然だなあ。
「もし、その詐欺のひと達からもらったとして、そんな高いものをあげたりするでしょうか?」
「依頼を引き受けた頃なら、これが代金の代わりだったのかもしれない。急ぎの注文だったと言っていたし、デザインからして女性用だしな。」
私の疑問にクルビスさんも頷いて、別の答えをくれる。
っていうか、やっぱり女性用だったんですね。