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まあ、その予想は言い意味で裏切られることになったんだけど。
キャサリンさんとデリアさんが名乗ると、にぎやかな会食が始まった。
「ほれ、キャサリンちゃん、この赤いの食べてごらん。ゴートの実じゃ。」
「これがゴートの実ですかぁ。うわぁ。感激ですぅ。」
「デリア君は南の出身ということじゃったが、これは食べたことあるかのう?うちで育ててるカキの実じゃ。」
「!甘いですね。でも、優しい甘さです。」
「そうじゃろう。そうじゃろう。これは本来もっと寒い地域でしか採れんのじゃが…。」
孫にかまうおじいちゃんって感じ?
予想と違うなあ。カイザーさんとメルバさんは最近の天気の話なんかしてるし。
もっと色々聞かれるかと思ってたんだけど、そんなそぶりは微塵も感じられない。
もしかして、注目にさらされる私たちを純粋に気遣ってこの席に呼んで下さったのかな。
「ハルカちゃん~。食べてる~?」
「ええ。いただいてます。どれもとても美味しくて。甘い果物も料理に合うんですね。」
料理が美味しいのはホントだ。
ルドさん達ってすごいと思う。
一見アボカドのリンゴもどきもジューシーで真っ青な梨っぽい果物も、結構熟れてて甘いのに、ちゃんと惣菜になってるんだもんね。
薄切りにした野菜と合わせてナッツ類と和えていたり、ちょっとクセのある野菜と炒めてあったり。
ポテトサラダにリンゴもどきが入ってるのは納得いったけど、他の料理には驚かされっぱなしだ。
でも、どれも野菜が薄切りにしてあったりして、果物が野菜のクセに負けないように工夫されてると思う。
酸味が強い果物はお魚と合わせられていて、こっちもフルーティーだけどさっぱりと食べられる。
すごいよねえ。果物でフルコース食べてるみたい。
「美味しいよね~。北はもともと僕らがいるから、果物のレシピは豊富なんだけど、それでもこの数はすごいよ~。お昼もご馳走になったんだけどね、昼と夜でメニューが全然違うんだよ~?信じられる~?」
こんなにたくさんある料理とまた違ったのがお昼に出たって、どんだけ果物のレシピがあるんだろう。
いや、これはそのレシピを知ってた調理部隊さんに驚く所かも。
「さすが、北の調理部隊ですね。ルド料理長のレシピ保有量は街1番というのも、ウワサだけではありませんね。」
「そうだね~。レシピ知りたさに里まで突撃してきたのって彼くらいだしね~。」
ルドさん突撃したんだ。いや、それよりも街1番って、ルドさんそんなにすごい料理人だったの?
そんなすごいひとをいっつもレシピ再現に付き合わせてる私って。
未知のレシピを教える代わりにって、手伝ってもらってるけど、本当は私の方がお金払わないといけないんじゃない?
ルドさんいなきゃ餡子も抹茶ソースも再現出来なかったんだし。