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これから、土日祝日は更新をお休みして、平日深夜の更新になります。
くわしくは活動報告にて。
12:30の時点で書いてある活動報告の内容が、訂正ずみのやつです。
「それは…。」
「勝手に出すんですかぁ?後で、怒られませんかぁ?」
返事につまるカイザーさんと驚くキャサリンさん。
デリアさんもぽかんとしてる。やっぱり非常識だよね。
どういうつもりで言ったんだろう。
前に何かあったんだろうか。
「前も、被害者に相談してる間に示談に持ち込まれました。転移局から被害届を出すということなら、先に届け出てしまった方がいいでしょう。まして、今回の被害者は女性です。届け出が出た後なら、警護が出せます。」
前は邪魔が入ったんだ。
示談ってことは、話合い、もしかしたらお金で解決したのかな。
でも、カイザーさんの苦しそうな顔を見てると、違うかもしれない。
クルビスさんが、シェリスさんのことを言ったのも気になる。
それって、過去に警護が必要なことがあったってことだよね。脅されたりしたんだろうか。
クルビスさんの提案の意味がわかったキャサリンさん達も苦い顔だ。きっと私も同じだろう。
「そう、ですね。また、なかったことにされては、何時までたっても同じことが起こるでしょう。」
『なかったこと』の部分でカイザーさんの魔素が揺れる。
すぐに収まったけど、悔しい思いをしたんだろうな。
事情を知ってるのか、キャサリンさんも心配そうにカイザーさんを見ている。
なかったことにされる、それが今までの北西の地域がどういう扱いを受けてきたのかを如実に表してると思う。届け出、出せるのかな…。
「わかりました。シェリスさんとルイさんには事情をお話して、その事も含めて謝罪します。先に届け出を出すことにします。」
「では、一緒に守備隊に行きましょう。ルイさんのウワサが広まってるなら、今行った方が変なウワサにならないでしょうし。」
そう言って、クルビスさんが閉じたドアの方を見ながら話す。
他の皆さんも困ったような顔をしている。
「もしかして、外に誰かいるんですか?」
「たぶん、ご近所さんですねぇ。すみませぇん。うちの家族も誰かいると思いますぅ。」
私の疑問に恥ずかしそうに答えてくれるキャサリンさん。
まあ、朝は開いてた転移局がいきなり閉まったらそうなるよね。
キャサリンさんのご実家は情報通だってことだから、そういう変わったことがあると情報を集めようとするだろうな。
それで助かったこともあるから、そこは不問で。気にしてませんよ~。
「いえ、私にはわからなかったから聞いただけですから。いきなり閉めたら、気になりますよね。」
「朝は普通に開けてましたしねぇ。今日は帰ったら質問ぜめ確定ですぅ。」
がっくりとうなだれるキャサリンさん。
う~ん。ご実家が情報通っていうのも、大変そうだ。
「今日はカイザー局長が私に用があったということにしましょう。ご近所さんには、詳しくは知らされていないということで通した方がいいでしょう。ハルカも。」
「はい。」
クルビスさんの提案に皆頷く。
知らなければ答えられないもんね。魔素が揺れないように気をつけなくちゃ。
「でもぉ、あんまり答えないと、シェリスさんやルイさんの所にいっちゃうかもしれませんよぉ?言いつけるひとっていますしぃ。」
ああ。それはありそう。
ただでさえ、届け出を先に出すのに、それが無関係のひとから耳にいれられたら…。どうしよう。
「それは、私が帰ったら聞いてほしいと伝えて下さい。知らないからこれ以上答えようがないと。心配そうな素振りを見せれば、それ以上は聞いてきませんよ。」
知らないから答えられない、知らないから心配だ、で通すわけですね?
それなら、動揺で揺れる魔素も心配してるからだと思ってもらえそうだ。