20
「いえ。気にしないで下さいクルビスさん。そもそも、私が受付して通常の手順で送ってしまったんです。手が空いてたデリアさんに聞いてやったんですけど、カイザーさんかキャサリンさんに確認すべきでした。」
そう。あの時、受付も送るのも私がやったんだよね。
受け取ったその足で手の空いてたデリアさんに聞いて、丁度広場の転移局に送る荷物があったから一緒に送ってしまったんだ。
方法はおかしくない。マズイのは確認しなかった私だ。
教えてくれたデリアさんだって、まさかそんな事情があるなんて知らなかっただろう。
彼が教えてくれたのは通常の手紙の集荷方法だ。
普通はそれで届くけど、北西の転移局が普通じゃないって良く知ってたはずなのに。
初めてやる作業なら、カイザーさんかキャサリンさんに確認すべきだった。私のミスだ。
はあ。カイザーさんに報告して、シェリスさんとルイさんにも謝らなきゃ。
「このこと、明日カイザーさんに報告します。シェリスさんとルイさんにあやまらないと。教えて下さってありがとうございます。」
「いやいや。報告はいいけどよ。謝るのは待った方だいいぜ。まだ決まったわけじゃねえしな。」
「そうですよ。ルイさんへの返事だって、配達が遅れてるだけかもしれませんし。まずは事実を確認しませんと。」
確かに。もしも、ルイさんの紹介状が後で届いて、シェリスさんの支払いが分割出来れば何も問題はないわけだし。
その前にルイさんに謝ってしまうと、今日以上の大騒ぎになりそうだしなあ。
クルビスさんも私を宥めるように頭を撫でている。
ありがとうございます。落ち着きました。
「そうですね。まずはカイザーさんに報告します。それからのことはカイザーさんの判断に従うことにします。」
「それがいい。カイザー局長なら対応も早いだろうし、間違いない。」
「まあ、慣れてるしなあ。」
「キィ。まあ、私もそう思いますけど。」
私の返事に頷くクルビスさんに、別のことに頷くキィさんとフェラリーデさん。
慣れてるって…。昔はよく合ったことみたいだけど、何だかなあ。
「中央局もハルカが関わってるからには、全力で調べるだろうしな。」
「もし無くなってたら、大騒ぎでしょうね。」
「上の連中、顔色悪くするんだろうなあ。」
何だか皆さん悪い顔してますね。
でも、私が関わってるからって、そこまで大騒ぎになるかなあ。
「自覚がないか。」
「まあ、それがハルカさんらしいですよね。」
「クルビスが外に出さないから余計な。」
「これ以上、出す気はない。」
え。ちょっと、何か怖いこと言いませんでした?クルビスさん。
いや。そっぽ向かないでこっち見て下さいよ。まだお話があるんですから。