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私の一言に周囲がしーんとなる。
う。やっぱりあきれられたかな?
「ありそうだなあ。自滅を誘うような効果といい、今では使われてない術式を使ってるとこといい、たしかに口封じっぽいわ。」
静まり返った室内でキィさんが話しだす。
その魔素はすごく安定していて、私の話を真剣に考えてくれてるようだ。
正直、カエルさんやトカゲさん達の表情は未だに読めないことが多いから、魔素でどう感じてるのか確認するのはクセになっている。
メルバさんの徹底した訓練のおかげで、最近はウソをついた時の微妙な魔素の揺れもわかるようになってきたけど、キィさんの様子にそれはない。
こんな素人の思い付きを真剣に検討してくれるなんて。
それだけ、今回の事件が異質だということだろう。
「うちの一族が喜んで使いそうな姑息な手だ。この術式、使われなくなってて良かったあ。」
…実感のこもったセリフですね。
もしかしなくても、そういう目にあったことあるとか?
青の一族も一族内でいろいろあるしなあ。
キィさんは黄緑の青ガエルさんな体色だけど、青の一族はそろって青みの強い青緑色の体色だから、一族の印を持たないキィさんは一族内でとても苦労してきたひとだ。
青の一族の悪巧みを盗み聞きしたことのある私としては、今のキィさんのセリフには大いに同意したい。
ホント、使われなくなってて良かった。
「ですが、その通りだとして、カバズさんはどうして狙われたのでしょう?カバズさんは特別な製法を持っているとか?ですが、技術者の階級としてはあまり高くないですよね?」
フェラリーデさんが話に参加してきて、キャサリンさんに確認している。
キャサリンさんも困惑したような魔素を出しつつ、頷いていた。
「そうですねぇ。たしか、この間やっと3級になったくらいですからぁ。特許を取るほどの技術はないと思いますぅ。詳しくはルイさんの方が知ってると思いますけどぉ。それなら、最初から話してると思いますしぃ。」
技術都市だけあって、技術に関する情報には特別な保護がかけられる。
それを狙ってならわかるけど、でも、それだと殺そうとする意味がわかんないよねえ。
聞き出そうとするのが先だと思うし。
それに、キャサリンさんの言う通り、ルイさんに心当りがあればすでに話しているだろう。
カバズさんは詐欺グループの被害にあったひとだ。
もしかして、依頼を受ける時に、相手にとって都合の悪いことをそれと知らずに聞いてしまった、とか?