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「ん?ああ。じゃあ、相談事ってのは…。」
キィさんのもしかしてという表情に、ゆっくりと頷く。
それにこまった様にため息をついて、私に向き直った。
「その話、後でちょっと詳しく聞いてもいいか?」
「はい。」
周りを見渡してさっきより小さい声で聞いてくるキィさんに、クルビスさんに同意を得てからまた頷く。
こっちから詳しく聞こうと思ってたから、丁度良かった。
話はそこから今日の天気の話に逸れて、普通に食事を取る。
最後にさっぱりしたマリネを食べたから、口の中はすっきりしてる。
美味しかった~。
こっちに来るまではお肉も好きだったんだけど、こちらの肉料理は辛いものが多いから、すっかりシーフード好きになっちゃった。
お刺身も食べたいなあ。
魚人の里に行けばお刺身もあるし、シーフード三昧だって聞いてるけど、この間の事件でクルビスさんが忙しくなってしまって現在予定がたてられない状態だ。残念。
「明日も魚三昧だ。少し珍しいものが入ったんだ。期待していい。」
私が魚好きだと知ってるルドさんが、食器を返す時に教えてくれた。
珍しいお魚かあ。どんなやつだろ?
でも、ルドさんが言うなら味は期待できるだろう。
うふふ。楽しみ。
「楽しみです。」
そんなやり取りをしてから、2階の会議室へ。
私がお茶の準備をしてる間に、なぜかフェラリーデさんもやってきた。
「ルイさんがかけこんで来た話なら、私も気になってまして。」
ルーイーさーん。
ウワサになってる。っていうか、かなり広まってる。
きっと大騒ぎしながら走ってきたんだろうなあ。
今頃カイザーさんやキャサリンさん達の耳にも入ってるだろう。
うわあ。明日忙しくなりそう。
荷物以外に話を聞きに来るお客さんがたくさん来そうだ。
お茶の準備をしながら、明日の状況を想って頭が痛くなる。
全員にお茶をくばると、キィさんが話始める。
「んじゃあ、ミネルバ工房についてだけどよ。どういったいきさつでルイが駆け込んで来ることになったのか聞いていいか?」
「はい。あ。一応、お願いしておきますが、詳しいことは内密にお願いしますね。そもそも、北西の地域でカフェを開いているシェリスさんが、悪質な調理器具を売られたことが発端でして。」
「ああ。あれは酷かったですね。」
私の言葉に、フェラリーデさんが頷く。
ほんとに酷かったから、皆さん記憶にあるみたいだ。それなら話が早い。
「ええ。それで、次はそういうことが無いようにって、新しい器具を買うのに、ルイさんが紹介して、ミネルバ工房に見積もりを出していたんです。それが今日届いたんですけど…。」
何て説明しようか。
とりあえず、見積もりの内容を説明しよう。それが騒動の原因だし。