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一通り話が出来てスッキリしたので、クルビスさんと食事を取りに下にいく。
食事時だったのか、いつもより隊士さんの数は多かった。
「おお。お疲れさん。帰ってたんだな。」
カウンターに並んでいたキィさんが私たちに気づいて声をかけてくれる。
周りに術士部隊のひと達がいたから、術士部隊は仕事が終わったのかもしれない。
「ああ。魚があるのか、これと同じやつを2つ。」
キィさんが手にしていた魚のスープを見て、クルビスさんがテキパキと注文してくれる。
スパイシーな香りがするから、エスニック系のスープなのかも。
「今日は魚料理ばっかりだぜ。南から届いたのさ。こないだの礼だってな。」
「太っ腹だな。」
キィさんが指し示したのは厨房の中。
大きな作業台の上で必死に魚を捌く調理師さんの姿があった。
作業台の真ん中には色とりどりの魚が山と積まれている。
すごい量。これって、港にでも行かないと見れない量だ。
隊士さん全員分だから、当たり前といえば当たり前だけど。
これを送ってくれたのは、たぶん南地区の守備隊だろう。
この間の捕り物で、ずいぶん協力してたみたいだから。
こんなに各地区と話が進むのが早いのは珍しいって、クルビスさんが驚いてたなあ。
「港の関係者がかなり感謝してるんだってよ。イージス隊長が格安で提供してもらえたって笑ってた。」
「はははっ。イージス隊長らしい。」
めずらしい。
クルビスさんが上を向いて歯を見せて笑ってる。
イージス隊長って、結婚式の時にお会いした南地区の隊長さんだよね。
あの時はあまり話す時間がなかったけど、さっきのキィさんの話を聞く限り、おもしろい方みたい。
「お待たせしましたー。魚定食3つ。」
あ。料理が来た。
クルビスさんが誘ってくれて、キィさんと一緒のテーブルになるみたい。
じゃあ、ご飯食べながら、不自然じゃないようにミネルバ工房のこと聞けるかな?
無理には聞かないようにしないといけないけどね。
ミネルバ工房のことだって、娘さんのことはあまり知らないかもしれないし。
キィさんなら知ってそうにも思えるけど、期待しすぎるのは禁物だ。