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話し込むうちにおやつにすることになった。
おやつの習慣はルシェリードさんのお宅でもしっかり習慣化されている。
イシュリナさんがこの間の水菓子を練習したのだと用意して下さっていて、とても楽しみだ。
そこにまだ聞くはずの無い声が耳に入る。
「ハルカ。」
「え。クルビスさん?」
あれ。予定では早くて夕方だったはず。
さっき2の刻の鐘が聞こえたから、まだ日も高いのに。
驚いて聞き返すと、目の前が真っ暗になる。
早速抱きしめられてるようだ。
「早く終らせ、終わったんだ。だから迎えにきた。」
早く終わらせて来たんですね。
きっと北の守備隊では何人か倒れてるんじゃないかな。
「早かったな。クルビス。」
「ええ。今回は上手くいってます。」
「そうか。」
明るいクルビスさんの声にメラさんも嬉しそうだ。
大きな捕り物をしてるって知ってたし、心配してたんだろうな。
「調子が良いようでなによりだ。仕事が終わったのなら、飲んでいくかい?。今年の新酒だよ。」
フィルドさんが酒杯を持って、クルビスさんに声をかける。
クルビスさんはドラゴンの梅酒は好きなのか、嬉しそうに受け取っていた。
甘いの苦手だもんね。
私の甘い梅酒はウケそうにないかも。
「初めての星祭はどう?」
おやつの準備が整ってテーブルに戻ると、クルビスさんが声をかけてくれる。
きっと星祭の準備があるって知ってて、私の気晴らしも兼ねてメラさんに預けてくれたんだろうなあ。
「星屑作りのお手伝いをしました。とても美味しかったですよ。お餅が食べられるなんて思ってもいなかったですし。」
「ハルカが作った…?」
「もうないよ。」
「俺たちで全部食ったからな。」
「…そうですか。」
私の報告に反応したクルビスさんに、フィルドさんとルシェリードさんが連れなく答える。
それに不機嫌そうに眼を細めて、それでも文句を言わないクルビスさんはドラゴンの気性を良く知ってるからだろう。
その様子をイシュリナさんとメラさんが笑ってみている。
こんな穏やかな午後久しぶりだなあ。
最近はコンクールの後は、料理教室やら不審物の件やらで休みの日も忙しかったから。
共鳴のおかげで体調は万全だったけど、精神的な余裕が無かったし。
ありがとう。クルビスさん。
感謝を込めて見つめると、クルビスさんは嬉しそうに目を細めた。