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「ふふ。ありがとう。メラに聞いた時は驚いたけど、そのおかげでクルビスは安定してるんだろうね。」
私の重い発言にも嬉しそうにフィルドさんが頷いてくれる。
ルシェリードさんも機嫌が良さそうに頷いてる。
良かった。勢いとはいえ、息子さんに一生付きまといます宣言しちゃったからどうなるかと。
内心では心配だったけど、好意的に受け取ってもらえたようだ。
世界への宣誓はとても古式ゆかしい神聖な儀式だから、邪まな気持ちじゃないって信じてもらえたのかもしれない。
自分がこの世界に残るための儀式でもあったけど、クルビスさんと一緒にいるって宣誓しておいて良かった。
ジジさんのおかげだな。
またお茶に行きたい。式が終ってから、全然お会いできてないなあ。
「しかし、この場にクルビスがいないのが惜しいな。きっと悔しがるだろう。」
「もう。そうだとしても言わないのよ。それに今さら聞かなくったって、あの子だってわかってることなんだから。」
ルシェリードさんが楽しそうに言い、イシュリナさんが諌める。
ああ。それは是非とも内緒にしてほしいです。
拗ねる背中しか思い浮かばない。
クルビスさんって、本気で拗ねると背中が丸くなるんだよね。
あの姿も可愛いけど、後でおねだりが増えるから私が大変なことになる。
まあ、冷静沈着な隊長さんが拗ねてるだなんて、誰にも言えないけど。
「ふふ。この調子なら、夕方まで持つだろう。」
「そうだね。でも、早く来るために、今頃頑張ってるだろうねえ。」
メラさんとフィルドさんはクルビスさんが仕事を頑張ってるのを想像したのか、とても楽しそうに笑っていた。
きっと今頃隊士さん達はこき使われてるんだろうなあ。
私と婚約してから、クルビスさんってば他に仕事を回すことを覚えたらしく、そこから発展して今では効率よく周りをこき使う術を身につけたってシードさんが遠い目をして教えてくれた。
それでも、以前のような無茶な仕事ぶりではなくなったので、安心してるって感謝されたけどね。
私に言わせれば、シードさんもお休みが必要に感じたけどなあ。