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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
お休みの日ー女性達のつどい
189/397

20

 予想通り、ドラゴンの梅酒は結構濃かった。

 私があまりお酒に強くないのは伝わってるみたいで、水で割ったものを出してもらったのだけど、それでも濃いと思うくらいだった。



「これは漬け込んでどれくらいになるんですか?」



「そうだな。三月みつき、と言ったところか?」



「そうですね。今年のですし。」



 ええ。3ヶ月でこんな濃さになるの?

 早すぎるでしょ。



「早くないですか?」



「ああ。里で漬けたものは熟すのが早いんだよ。」



 私の疑問にフィルドさんが答えてくれる。

 ああ。ドラゴンの里ならではの不思議効果か。



 結界で包まれてるんだもんね。

 気候も湿度も違ったし、外と違ったことが起こっても納得できる。



「結界の効果ですか。すごいですねえ。」



「ほう。ハルカは結界の効果だと思ったのか?」



 私が感想を言うと、ルシェリードさんはそれに興味を持ったようだ。

 え。でも、今の話を聞く限り、結界の効果でしょう?



「違うんですか?」



「いや。あってる。だが、何でそう思った?」



 くつろいだルシェリードさんが口調を崩しながら、さらに突っ込んでくる。

 何でって言われても。



「ええっと、結界って、外と中を隔てるんですよね?ドラゴンの里にお邪魔したとき空気が変わりましたし、気候も違いました。中は暖かったですし、暖かいと発酵も進みますし、だから、結界の中だと外と違った効果があるんだろうなあって。」



 思ったんですけど、皆さん目を軽く見開いてらっしゃる。

 あれ?やらかした?いや、でも、封印の話をこの前クルビスさんから聞いたばかりだし、それを思い出して似てるなあと思って理由づけしたんだけど。



「ふむ。成る程、理屈だな。」



「説明してなかったんですか?」



「暖かくしてあるとは言ったが、細かいことは何も言ってないぞ。」



 私の説明にルシェリードさんが納得すると、フィルドさんが不思議そうに話にまざる。

 もしかして、ドラゴンでは当たり前のことなのかな。



 でも、授業では何も習わなかったんだけど。

 そこにメラさんから声がかかる。



「結界の効果は、たしかに外と中を隔てて、中の状態に条件を付けるものだ。自力でその答えにたどり着いたとは、術士の素質があるな。」



 ぎく。

 恐る恐る見ると、メラさんの目が獲物を見付けた狩人のようにギラリと光っている。



 うわあ。せっかくキィさんから余計な話がいかないようにしたのに。

 まずいこと言ったかも。



「いえ。ドラゴンの里に招待してもらったから、そう思ったんです。とても暖かかったですから。」



 ええ。断じて、自力で考えたとかじゃありませんから。

 単純に、暖かいとお酒も早く漬かりそうだなあと思っただけですから。

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