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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
お休みの日ー女性達のつどい
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19

「じゃ、俺は戻ります。今年はまだ取り引きが終わってないので。ハルカさん。今度、ローズにジャムの作りかたを教えてやってくれ。」



「はい。」



「なんと。忙しいのに持ってきてくれたのか。ありがとう。フィルリエ。」



 どうやら、アーネストさんがここへ来たのは、ドラゴンの里から来たお酒を受け取るためだったみたい。

 しかも、まだその取り引きは終わってないらしい。良かったのかな。



「いいえ。うちの若いのがよくやってくれてますんで、そっちは大丈夫です。」



「助かったよ。今年は多めに注文したら、大がめ2つになってしまって。どうしようかと思ったんだ。」



「ハルカさんが来るからって頼み過ぎだろ。俺がいなきゃどうしてたんだ。」



 感謝するフィルドさんにアーネストさんが呆れたように言う。

 この大量のお酒、私が来るからだったんだ。こんなに飲めないんですけど。



「その時は1つずつ運ぶしかなかったね。」



「そうなると、うちの酒だと勘違いされて持ってかれたな。」



「だから、助かったんじゃないか。今度おごるよ。今年の星見は家族で過ごすんだろ?」



「ああ。秋から甥っ子ふたりが訓練生になるからな。門出の祝いだ。」



 笑いながら話すフィルドさんとアーネストさんを見てると、ホントに仲が良いなあと思う。

 そこにいつの間にか、大きめのカップになみなみと注がれた梅酒が差し出される。



「ははは。なら、駄賃がわりに、1杯くらい飲んでいけ。味見をしたが、今年は良い出来だぞ?」



「…では、1杯だけ。」



 ルシェリードさんが差し出したお酒をアーネストさんは両手で恭しく受け取る。

 それをとても美味しそうに飲み干すと「これは美味い。」と顔を輝かせて言った。



「そうだろう。きっとヘビの一族に降ろした酒もよく出来てるだろう。」



「それは楽しみです。では、私はこれで。ご馳走さまでした。良い星見を。」



「ああ。良い星見を。」



「良い星見を。」



 そう言って、お酒のカップをフィルドさんに渡すと、上機嫌でアーネストさんは帰っていった。

 あたりには濃厚な梅酒の香りが漂っている。



「客が来るから多めにとは言ったが、たしかに多いな。」



「そうなんですよね。私とお父さんも飲むと言ったので、ドラゴンの客だと思われたのかもしれません。」



「成る程。それはありそうだ。」



 どうやら、この大量のお酒は情報の伝え不足が原因らしい。

 いくら本体じゃないとはいえ、ドラゴンが酒を飲むって言ったら、結構な量が必要だもんね。



 私に飲ませるなら、いつもの量で良かったのに。

 濃そうな梅酒だから、割らずに飲むとなるとカップ1杯が精一杯なんだけど。

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