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「美味しい!」
ひと口食べた餃子もどきはとても美味しかった。
ちょっと酸味にあるソースにつけて食べるんだけど、これがまた美味しい。
もちっとした食感と中のふんわりとした餡の相性がまたたまらない。
餅米を使ってるからか、水餃子の皮より柔らかくて厚みのある生地でも食べやすい。
中の餡はあっさりしてるかと思いきや、結構味がしっかりしててジューシーだった。
こっちの川魚は私が知ってるのと違うみたいだ。美味しい。
「気に入ってもらえて良かったわ。」
にこにこと食べる私をイシュリナさんもにこにこと見ている。
ルシェリードさん達が感心したように見てたから、私が白い星屑を躊躇なく食べたことはかなり珍しいことなんだろう。
「もうすぐおかわりも出来るから、少し待っててくれ。」
メラさんの言葉で目の前の大皿を見ると、もう皿の底が見え始めていた。
あれ。さっきまで山盛りあったのに、どこに消えたの。
私、まだ1つめをもきゅもきゅ咀嚼してるんだけど。
その答えは消えていく星屑を大きなお口に放りこんでるドラゴンのお二方にあった。
食べる速さが瞬間芸かってくらい早いの。
何で?式の前に泊まった時は普通に団らんしながら、普通の速度で食べてたのに。
「ほら。新しいの入れるから、皿を空けて。」
メラさんのセリフに幾つか残ってた星屑を一気に箸でつまむフィルドさん。
それにルシェリードさんが「あ。」と批難の声を上げる。
「いいじゃないか。母さんの手料理なんていつも食べてるだろう?それにこれは私も作ったんだから。」
「そうですよ。メラの手料理なんて、滅多に食べられないんですから。ここはゆずれません。」
あ。そういうことか。
異常な速さで無くなった訳は「伴侶の手作り」を少しでも多く自分の腹に収めるためだったようだ。
授業でならったけど、ドラゴンの一族は伴侶への執着というか依存っぷりが半端ない。
そのため、伴侶が自分のために作ってくれた料理なんか、どんな料理より価値が高いのだそうだ。
だからこんな風に大皿に盛られて「好きなだけ取る」形式の料理は争いになる。
今だって、一瞬でなくなったしね。
ヘビの一族といい勝負だよね。
あ。でも伴侶が作ったものでないといけないんだっけ。
クルビスさんもそうなのかな。
お菓子を試作したら必ず食べてもらってるけど、あげなかったらどうなるんだろう。
試食を勧めてくれたルドさんは知ってたんだろうな。
ありがとうルドさん。今度新しいレシピ教えますね。