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「ハルカさんもクルビスに贈ってもらえばいい。何も強請ってくれないと落ち込んでいたぞ?」
ええ〜。クルビスさん、何相談してるの。
強請るも何も、アニスさん経由で服も何もかも揃えてもらっちゃったし、守備隊のご飯も美味しいしで、もう十分してもらってるのに。
出来るなら、あの桜を見に行ったみたいに二人っきりのデートをまたしたいけど、それを言うと我がままになってしまうから、一緒にいれる時間を大事にすることにしてる。
それに私って結構事件に巻き込まれてるから、迷惑かけてる方が多いんじゃないかなあ。
「何も、というか、必要な物は揃えてもらいましたし。ふたりでいられれば、それでいいんですけど。」
「まあ、お熱いわ。」
「新婚だな。」
うう。恥ずかしい。
でも、新婚ですから。仲がいいアピールはしておかないと。
「まあ、それならそれでいいんだが、クルビスはフィルドや父を手本にしているからな。伴侶に強請られるのを夢見ていたようなんだ。欲しい物が出来たら言ってやってくれ。きっと喜ぶ。」
「そうねえ。伴侶の喜ぶものを渡せるのが男の本領だとか、変なこと吹き込まれてたものねえ。」
ルシェリードさーん!フィルドさーん!
何教えてるんですか。教育がちょっと特殊すぎます。
「そ、そうなんですか。」
知らなかった。強請られないことをそんなに気にしてたなんて。
夜のおねだりは強制するクセに、こういうことは言わないんだから。
常識も習慣も違うとこで育ったんだから、言ってもらわないとわかりませんよ。
それに、物を強請ろうにも私こっちの物に詳しくないから、それより2人でどこかに食べに行ったりしたいんだけど。
「強請るというか、出来れば、2人でゆっくり食事に行くとかしたいんですけど、それも中々難しくて。」
「あら。そんなに忙しいの?」
「ああ。今、北で大きな捕り物をやってるから。外に食べにいくのは難しいだろうな。」
メラさんはさすがに事情を知ってるみたい。
かなり大きな組織とやり合ってるらしくて、危険だからとこの休み中も1人の出歩きは禁止されてるくらいだ。
「ええ。とても忙しいみたいです。だから、せめて、一緒に食堂で食事だけでも取ろうって約束してます。」
「まあ!あの子、ちゃんとご飯を食べてるのねえ!」
「ハルカさんのおかげだな。」
あれ。何か変な方向で感心された。
クルビスさん、ご家族にもこの認識って、どれだけワーカーホリックだったんですか。