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「クルビスさ~ん。朝ですよ~。」
真っ暗な視界の中、魔素を高めつつもぞもぞ動く。
転移局に危険物が送られてきたから、今日からしばらくはお休みだ。
昨日、一通りの事情聴取を終えた私は、そのままクルビスさんに部屋に連れ去られた。
かなり不安にさせたらしく、詳しい事情をもう一度聞かれ、例の荷物を持った両手を魔素で覆われたり、そのままキスの雨を降らされたりと、スキンシップが止まらなかった。
2人きりなのもあって、私からキスしたりすり寄ったりとしたけど、それだけじゃ全然足りないみたいで、食事も部屋に持ち込んで全て『あ~ん』で食べさせ合い、お風呂も一緒でした。
何とか寝るころまでには宥められたけど、大変だったなあ。
しばらくお休みだから、2人の時間を優先するようにしないと。
でも、今日はクルビスさんはお仕事だから、まずは起きてもらわないとね。
「クルビスさ~ん?」
おかしいなあ。もうとっくに起きてるはずなんだけど。
っていうか、魔素の感じからいっても起きてるよね?
腰に手がまわされてるし。下に降りて来てるし。
起きましょうよ。お仕事でしょう?
ギュッ
嫌って。はいはい。一緒にいますから。
どうしたものか。
「部屋でご飯食べましょうか?食べさせてくださいね?」
食堂では無理ですが、部屋でなら妥協しましょう。
クルビスさん、私に食べさせるの好きだからなあ。
「…何が食べたい?」
起きてるじゃないですか。
しょうがないなあ。
「ん~。果物と何かさっぱりしたものを。今日のメニューってなんでしたっけ?」
狭苦しい中、すりすりとすり寄りながらリクエストする。
ここで反応を返さないと、さらにギュウっとされるので注意。
「たしか、冷たい麺があったはずだ。それにしようか?」
冷やしうどんかな?
一度食べたけど、少し酸っぱい出汁をかけて食べるんだよね。美味しかったなあ。
「麺がいいです。美味しかったですし。」
私の答えに満足したのか、クルビスさんがようやく離してくれる。
さて、ようやく身支度出来る。
「じゃあ、シャワー浴びたら取りに行くか。」
あれ。何でお姫様抱っこ?
もしかして、今日もお風呂から食事から全部一緒?
「休みを取ったから、今日はずっと一緒だ。」
めずらしく鼻歌を歌いながら、クルビスさんが私を浴室まで連れていく。
休みって、一緒って。うわあ、シードさんごめんなさい。