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それから、キィさんがシードさん達を呼び出して、私の思い付きをもう一度説明することになった。
いや。ホントにただの思い付きなんですけど。
「成る程ねえ。そんなら、捕まえたやつが言ってた『誰か倒れてないと困る』ってのは、失敗したら自分の身が危ないって思ってるからか。」
「それなら、また狙われることも考えた方がいいですね警護は強化しましょう。」
シードさんが納得したように頷き、フェラリーデさんが警護の強化の案を出す。
それにクルビスさんとキィさんも賛成して、何故か私の休みが決定した。
「クルビスが離さなくなったって言えば、通るだろ。」
「黒の単色の代わりと言えば、こちらから術士を派遣しても不審に思われないでしょうから。」
「数日のことですので。」
キィさんが笑って言い、キーファさんがもっともらしく述べ、フェラリーデさんが苦笑しながら宥めてくる。
クルビスさんと言えば、無言で私の頭を撫でてくれていた。
「まあ、こっちもすぐ解決できるよう頑張るから、よろしく頼むよ。今回の件でクルビスはしばらくハルカを離さないだろうし、マジでここにいてもらわないと困るんだよ。」
「主に俺が。」って言葉が続きそうなシードさんに深々とため息をついて言われれば、もう嫌ともいえない。
だって、クルビスさんの仕事に支障が出たら、負担は全てシードさんに向かうんだもん。
シードさんとリリィさんのご夫婦には日ごろからお世話になってるしね。
後は、仕事のことが気になるけど。
ちらりとカイザーさんを見ると、とてもいい笑顔で頷かれた。
あれ。局員が休むのに、機嫌いいなあ。
「ここのところ忙しかったですし、休暇と思ってゆっくりなさって下さい。術士の方が2つも来て下さるそうですし、大丈夫ですよ。」
さらっと条件つけた。さすが。
これ、術士の派遣の話を聞いたからOK出たんだろうなあ。
守備隊の術士さんと言えば、一流どころばかりだから。
最初は戸惑ってたけど、キーファさんのセリフを聞いた辺りから魔素が明るくなった気がするし。
まあ、上司が賛成してくれてるなら、問題ないか。
ここ最近、いろいろあったし、ちょっとゆっくりさせてもらおう。
「ありがとうございます。」
カイザーさんに礼を言って、休みを承諾する。
クルビスさんをちらりと見上げると、嬉しそうに目を細めていた。
しょうがない。
数日だって言うし、心配かけたし、こうなったら旦那様に尽くしましょう。
もう、詐欺師もこんなややこしい罠、仕掛けてこなきゃいいのに。
危険物より、旦那様のフォローの方が大変なんだけど。