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「封印ってのがよくわかんねえみたいだけどな。一定の魔素で外と遮断した状態を術士は封印って言うんだよ。ハルカさんがやったのはまさにそれだろ?」
ああ。確かに。
あの気持ち悪い魔素を直接触らなくて良いようにしたんだもんね。
それって、逆にいえば、あの荷物は外界と接触を絶たれた状態だったってことだ。
それなら、私がやったのは封印になる。
「そうですね。確かに。」
「だろ?それってすげえことなんだぜ?1級の術士でも、自分の手から離れての封印となるとちょっと難しいからな。ホントに守備隊の術士目指さねえ?」
う~ん。どうやらすごいことをやったみたい。
勧誘されちゃったよ。
でも、次もって言われたら自信ないしなあ。
今回上手くいったのはたまたまだろうし。
「いえ、あの時はたまたま上手くいったんだと思います。イメージが良かったんでしょうね。」
「そうかなあ。たまたまであれは出来ないだろう。なあ、クルビス。」
「ああ。ハルカは術士の才能があると思う。」
ちょ。クルビスさん、助けて下さいよ。
キィさんの目が輝いちゃったじゃないですか。
私、平凡なOLでしたから。
隊士さんの訓練なんて出来ませんから。
キィさんの行動力と影響力は知ってるから、ここでこの話はなかったことにしておかないと。
知らないうちに話が進んでそう。メラさんが迎えに来たりして。
メラさんと言えば、お義父さま、つまりフィルドさんと一緒には働けてないんだよね。
どっちも強すぎて、守備隊の力が偏るから。
「隊士になったら、お義父さま達みたいに離ればなれになりそうですね。」
キィさんにも聞こえてると思うけど、クルビスさんに向かってポツリと小さくつぶやく。
現実的にありそうだと思うんだよね。
同じ職場だと、「黒の単色が2つも」って文句が出そうだ。
そうなると、夜も別々ですよ?いいんですか~?
「だが、隊士にする気はない。ハルカにもないしな。」
「ええ~。もったいない。」
脅しが通じた。
クルビスさんがキィさんをけん制してくれる。
うんうん。
新婚ですしね。私も大好きな旦那様と一緒にいたいです。
だから、勤務の安定してる転移局で働くのが一番いいんですよ~。
よし。頷いた。
でも、ちょっと魔素が揺れてるなあ。
さりげなく主張し続けないとやばいかも。