4
「話は聞いた。それは俺が持とう。」
「はい。お願いします。」
もう嫌で嫌で仕方なかったので、すぐさま例の荷物をクルビスさんに預ける。
この荷物、何かぬるってしてる気がするんだよね。生理的に気持ち悪いって感覚がぬぐえない。
実際はただの木の箱なんだけど、それだけに余計に気味が悪かった。
クルビスさんも受け取った時に盛大に顔をしかめていたけど、その後目を見開いて私を見た。
「これはハルカが?」
え?私が?
何かしたっけ。あ。
「えっと、そのまま持ってるのが気持ち悪かったので、魔素で包んでしばってみました。」
私の答えにますます目を丸くするクルビスさん。
ああ。失敗したかも。もしかしてやっちゃいけないことだったとか?
「そう。か。わかった。とりあえず、このまま本部に持っていこう。ハルカ、これは向こうで解いてくれるか?ハルカにしか無理だ。」
「わかりました。」
失敗って感じじゃないみたいだけど、どうやら私しか解除できない代物になってしまったみたいだ。
うう。それじゃあ、またあれに触らないといけないのかあ。やだあ。
「カイザーさんも一緒に来て、詳しい事情を教えていただけますか?」
「はい。これから伺うところでしたので。」
「ありがとうございます。」
そのまま一行は守備隊に向かい、キーファさんに出迎えられて地下の練習場に通される。
道中、クルビスさんがかけこんで来たことで多少ひと目についたものの、大騒ぎになることはなかった。
地下につくと、キィさん以下術士部隊の隊士さんが数人と、フェラリーデさんにリリィさんがいた。
ピリリとした空気に思わず立ち止まりそうになるけど、その鋭い視線が隊士さんとキーファさんに連行されてるヘビの男性に向かっているのに気づく。
自分に向けられたものじゃないとわかったら、何とか足は進んだ。
キィさんの元までたどり着くと、いつもの笑顔でキィさんが声をかけてくれる。
「ご苦労さん。カイザーさんもハルカさんもありがとな。ゲイン。お前がいてくれて良かったよ。」
「いえ。未然に防げず申し訳ありません。この男が不審な荷物を持ち込みましたが、ハルカさまに見破られました。誰かに操られてるようで、未だに自分の意志で動くことはほとんどありません。」
キィさんの言葉に連行していた隊士さんが軽く礼をして、捕まえた男性のことを報告し始める。
その間に例の荷物はクルビスさんからキィさんに渡された。
それを見たキィさん以下術士部隊のひと達は目を見開いていた。
術士部隊のひと達の一族は様々で、青の一族にヘビの一族、深緑の森の一族や獣人のひともいて、お式の時に挨拶してくれたひと達も混じっていた。