27
「あ。シーマームの方が抹茶ソースをとても気にいってくださったので、抹茶のスイーツを手土産にしたらどうかと思いまして。」
「へえ。抹茶の。」
「きっと良い香りでしょうね。」
最初に反応を示したのは、さすがというかキィさんとキーファさんだ。
おふたりには試食してもらうからか、お顔が嬉しそう。
「いつ頃つくる?」
ルドさんが早速作る日時を聞いてくる。
奥の厨房を貸してもらわないといけないから、話は早い方がいい。
「そうですね。次の休みが4日後なので、その時はいかがですか?」
「4日後か…。ちょうどベルたちが使う時だな。作るのに参加させてくれるなら「おっけ~っすよ!」…大丈夫らしい。」
私の提案にルドさんが思案してると、カウンターから当のベルさんとバウルさんが両手で小さく丸を作りながら使用許可をくれた。
水菓子を作るときは順番に調理師さんに手伝ってもらってるから、この2人とは久々だ。
きな粉を作るときも一緒に考えてくれたし、汁粉のアレンジを作るときもそうだった。
初めて作る時にはルドさんに続きこの2人とも縁がある。
語尾に独特のクセがある、黄色い頭に黄緑の身体のヘビの一族の男性がベルティさん。
皆にはベルって呼ばれてて、私はベルさんって呼んでる。
もう1人はサーモンピンクで足首から先が青い体色のトカゲの一族の男性で、バウルさんだ。
2人は調理師としての経験も階級も同じくらいらしく、よく組んでは一緒に何か作ったりしてるようだ。
普段からそうなんだろうけど、作る時の連携もとても上手いんだよね。
きな粉作りの時は助かったなあ。
「よろしくお願いします。」
お2人が付いてて下さるなら心強い。
挨拶すると笑顔で頷いてくれて、それぞれの作業に戻っていった。
「ハルカさん。その新しいお菓子。出来たら私にも試食させてもらえませんか?」
ん?ぐふっ。
フェラリーデさんのお顔が普段の何倍にも輝いて見える。
え。このキラキラ効果なに?
お菓子作るだけですよ?
「え。ええ。もちろん。」
「ありがとうございます!」
うごふっ。美形の満面の笑みは破壊力が抜群だ。
鼻血でそう。ありがとうございますはこっちです。
「相変わらず、スイーツが好きだな。」
「ハルカさんのは特別ですよ。今ほど北の守備隊に入れて良かったと思うことはありません。」
いや。それはさすがに他のことで思って下さいよ。
フェラリーデさんの恍惚とした様子にクルビスさんが呆れている。
キィさん達はまたかと言った様子で苦笑していた。
どうやら隠してると思ってたフェラリーデさんのスイーツ好きは有名だったみたい。