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リビさんのお店には後日伺うことにして、次はシーマームとフォーリンガの調理師さんの話に移る。
フォーリンガのガリューさんのことは北の守備隊では有名だったらしく「ああ。あいつか。」といった反応だった。
「ハルカさんに会わせてくれと、それはもう熱心でしたからね。何度言っても引き下がらなくて。」
「キーファが押されていたくらいだからな。ずっと料理教室のことを言っていたから、日取りについては母に聞いた方が早いと言ったんだが。母から参加が決まったと聞いた時は驚いた。」
どうやら対応してくれたらしいキーファさんがため息をつきながら教えてくれ、それを見かねてアドバイスしたルドさんが苦笑していきさつを教えてくれる。
そうか。ルドさんがアドバイスしてくれてたから、ガリューさんはウジャータさんに直訴なんて出来たんだ。
ウジャータさんは現在のトカゲの一族の家長の伴侶であり、料理の基礎技術を共通化させた有名人だ。
私の後押しをしているってウワサくらいじゃあ直訴までは出来ないよね。
「でも、とても熱心でしたよ。彼が抹茶を扱うお店のことを聞いてくれなければ、気付かないままでした。それに、シーマームの調理師さんにも参加して頂けましたし。参加して頂けて良かったです。」
私がガリューさんの参加を喜べば、ルドさんはホッとした様子だった。
自分が言ったことが原因だけに気にしていたみたい。
「ああ。シーマームはまだ挨拶言ってないんだったか?」
「潮がまだ収まっていないらしくてな。決まったら連絡が来ることになっている。」
「今年は遅いですねえ。」
キィさんは私の話を聞いて別のところに興味を持ったようだ。
クルビスさんがまだ連絡が無いことを答えると、フェラリーデさんが心配そうにつぶやく。
「例年なら、もう潮の流れは緩やかになってますよね?」
「ああ。だが、今年は西の魚がまだ入ってきていない。もうシーズンなのに。」
キーファさんも不思議そうに言い、ルドさんも潮の流れが変わってないことを裏付ける情報を食材で教えてくれる。
う~ん。これは訪問はもうちょっと先になるかもしれないなあ。
「じゃあ、もう少し時間がかかりそうですね。抹茶のお菓子を練習できます。」
よおし。抹茶のお菓子をつくる時間が取れた!
私がわくわくして言うと、周りの目が点になってるのがわかる。
あれ?何か変なこと言ったっけ?
新しい…。あ。今のだとシーマームと抹茶のつながりがわかんないや。