21
新たな反省点をメモしつつも、これ以降は午前中とそう代わりはなく、先に説明を加えたおかげか実習に集中して取り組んでもらえた。
皆さん上級の調理師さんだけあって、綺麗に餡を作られるんだよね。
ゼリーで包むのも、小龍包みたいな饅頭系の料理があるからか、少し戸惑ってても綺麗に丸く作れていたし。
予想以上に上手くいったなあ。反感や拒否反応も無かったし、助かった。
でも、これを基準にしちゃいけないって、再度、肝に銘じる。
出来たらもっと簡単な、そう、料理好きな素人にも作れるレシピにしたい。
となると、さっきも反省したけど、材料の調達からアドバイス出来るようになっておきたいなあ。
取扱いの店の一覧をレシピの後ろに乗せられないだろうか。
出来るかどうかは置いておいて、せめて北地区の大通りだけでもお店を把握しておきたいところだ。
クルビスさんからの外出許可はまだ出てないけど、蜜月が終る前でもデートって名目でうろつけないかなあ。忙しそうだから無理かなあ。
満足した顔でレシピとお土産の餡に水菓子を抱えて帰る参加者さん達を見送りながら、新たな目標を頭の中に描いていく。
明日からまた仕事だけど、とにかく無事に終わって気分は爽快だ。
「ふう。お疲れ様でした。今日はありがとうございました。ウジャータさま。」
「いいえ。私も楽しかったですわあ。ねえ?イシュリナさま。」
「ええ。とっても楽しかったわ。お土産もたくさんできたし、皆も楽しそうだったし、良かったわねえ。」
今日のお礼を言うと、ウジャータさんもイシュリナさんも楽しんだことを教えてくれる。
うん。本当にそうだ。もっと値踏みされるかと思ったけど、皆さん楽しそうだった。
「イシュリナさまも一日お付き合い下さってありがとうございました。皆さんにも本当に楽しんでもらえたようでホッとしました。」
アドバイザーとして当初から手伝ってもらっているウジャータさんはともかく、イシュリナさんの場合はクルビスさんの予知夢のこともあって手伝ってもらった。それも丸一日だ。
秘かに気を張っていただろうから、疲れていらっしゃるだろう。
「ふふふ。お疲れ様。私こそ2回も参加させてもらえて嬉しかったわ。これで来れなかった子にもちゃんと教えてあげられるし。おめでたなのに参加するって言ってきかなかったのよ?」
それなのに疲れなんて微塵も感じさせないで、逆に私を労わるように優しい魔素が包み込んだ。
素敵だなあ。今はまだ無理だけど、いつかこんな素敵な大人の女性になりたいって思う。