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抹茶のソースはカラメルソースより反応が良かった。
焦げた香りの方が鼻につくみたいだ。
「お茶の香りが鼻を抜けて、何と香ばしいのでしょう。」
「苦味がまた良い感じに甘みを抑えてますね。これは一族に人気が出そうです。」
特に赤の一族の調理師さんとシーマームのアルディアさんは抹茶の方が口にあったみたい。
うっとりとしてかき氷を食べている。こんな状況前にもあったなあ。
アルディアさんが言うようにシーマームの方に抹茶がウケるなら、挨拶に行くときはなにか抹茶のお菓子を作って持っていこうかな。
いくつかアイデア出して、メルバさんやルドさんに相談してみよう。
ガリューさんは大興奮で、一気に食べて寒さに身を震わせていた。
身体の構造が違い過ぎて、頭キーンはならないのかな。イグアナの調理師さんなんかはなってるんだけど。
「帰りに抹茶を買わないと!どこで買えるのでしょう?!」
そのまま興奮の冷めないガリューさんに詰め寄られてしまった。
フォーレンガの宝石のような目をキラキラさせて、某ライダー様のようなお顔で迫られると「すみません!」って言いそうになってしまう。
「お願いです!北の店には伝手が無いものですから!」と言われてハッとなる。
さすがにクルビスさんに引き離されるけど、ガリューさん以外にも知りたそうな顔をしたひとが何人か視界に入る。
まずい。帰りに買って帰るなんて思ってなかったから、お店のピックアップもやってない。
私のミスだ。調理師さんなら問屋さんとか売ってそうな店を知ってると思い込んでた。
ううう。こういう時はウジャータさん!
私が街に詳しくないのは周知の事実だし、素直にアドバイザーに頼ろう。
「あらあら。気に入られたのね。ここから大通りを北に向かって進んでいくと、立ちネコ族のリビという方のお茶屋さんがありますの。そこでなら定期的に取り扱っていらっしゃいますわ。」
私のSOSのサインを受け取って、おっとりとウジャータさんが購入先を教えてくれる。
リビさんのお店といえば、ドラゴンの占術士ジジさんの花屋さんの向かい側にあるお茶屋さんだ。
服を着た二足歩行のネコさんのお店で、その姿にとても驚いたのを覚えている。
はじめてのお買いもので、そこでビビ茶っていうお茶を買ったんだよね。
最近は周りが物騒だからという理由でアニスさんにお使いをお願いしてるけど、またお茶を買いに行きたいなあ。
ウジャータさんの話だと、流石に北のお茶屋さんだけあって抹茶も取り扱っているようだし、今度は抹茶も買ってみたい。
他の調理師さんも知らなかったのか、リビさんの店の場所をメモしている。
抹茶って思った以上に認知度が低かったんだなあ。
これを機に少しずつ広まってくれればいいけど。
午前中は聞かれなかったけど、北地区の調理師さんが多かったのかな?
教室が北地区にあることを考えるとそうかもしれない。
うわあ。レシピの方に一杯一杯で、材料の方をどうするかなんて考えてなかった。
料理教室が終ったら、ウジャータさんに相談してみようかな。
レシピを広めたい人間が材料の手に入れ方を知りませんでした、なんてカッコつかないよ。