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その後、すばやく昼食を取って、次の料理教室の点検を始めた。
お昼はフルーツのワッフルサンドイッチでした。
まるでおやつみたいだけど、バニラアイスも挟んであって、結構ボリュームがあって美味しかった。
まだ少ししか普及してないはずのバニラアイスをウジャータさんは使いこなしているみたい。
メルバさんが喜びそうだ。
点検が終わるとウジャータさんと話し合いに入る。
午前の時間でわかった問題点を述べ、さっそく午後の講義から反映させることになった。
イシュリナさんの意見やクルビスさんの意見も聞きながら説明にいくつかの修正案を出す。
そうして決まった幾つかのうち、最初にカラメルソースの実演はやってしまって、砂糖の焦げやすさを印象付けるために、プリンにかけて味見してもらうことになった。
焦げ臭さは香りに出てるから、よくわかるだろうというのがクルビスさんの案。
確かに、自分の五感で感じたことって中々忘れないからね。
見た目だけでなく、味で覚えてもらうのもいいだろう。
後は質問を受けた部分をゼリーや餡の説明部分に盛り込んだりして、なるべく、作るときは作ることに専念してもらうことにした。
初めて作るときは失敗がつきものだから、今日集まる一流どころを基準にしてはいけないだろうというイシュリナさんの意見を取り入れる。
そうと決まれば、プリン作りだ。
ウジャータさんと手分けして、大急ぎで作る。
こっちのプリンは卵の味がしっかりした蒸しプリンが主流だから、素人の手作りカラメルは良く合うだろう。
うう。さっき食べたのにお腹すいたなあ。
イシュリナさんも楽しそうに手伝ってくれてるが、クルビスさんは大きな蒸し器を運んだりしながらも、甘ったるい香りに顔をしかめていた。
部屋の中はものすごい甘い匂いだもんね。甘いのが得意じゃなくて、嗅覚のいいクルビスさんにはキツイだろう。
少しだけ開けてた窓を全開にして、午後の教室に備える。
これで少しでも匂いが薄れてくれたらと思ったんだけど、蒸し器を見ていたイシュリナさんが風を操って部屋の空気を入れ替えてくれた。
「すごいですね。魔素ってこんなことも出来るんですねえ。」
「ふふ。これから暑くなるでしょう?広い部屋で小さい子たちを寝かしつけるのに必要なのよ。少し動かすだけだから、そんなに魔素も使わないしね。覚えて帰るお母さんもいるのよ?」
赤ちゃん用の冷風かあ。
冷房は良くないし、扇風機じゃあ大部屋に風が行き届かないだろうから、いい方法だと思う。
「私も覚えましたわあ。風を送らないと寝てくれませんのよ。」
ウジャータさんも経験ありかあ。
私もいつか覚えた方がいいかな。子供が出来た時のことも考えておかないとね。