6
料理教室の趣旨も理解してもらえた所で、授業スタートだ。
まずはウジャータさんから、お砂糖に豆の説明から始めてもらう。
「ハルカさんの故郷のお菓子は豆とお砂糖をよく使うそうですの。ですが、豆もお砂糖もこちらではなじみ深いものとは言えません。どなたにも作って頂けるよう、種類からご説明させて頂きます。ハルカさんはこちらの食材に馴染みがあまりおありになりませんので、この説明は私が担当いたしますわ。まずは皆さん、目の前の食材をご覧ください。」
やっぱり慣れてるから、説明によどみがない。
トラット豆の未熟な状態から熟した状態まで比較しながら説明し、さらに、今日の菓子に使われる豆を紹介する。
皆さん、通常に料理に使う豆だから、「これがお菓子に?」と不思議そうなお顔だ。
お砂糖は精製段階別に多くの種類があることに驚いていたみたい。
私の買ったことのある一番濃い状態より濃い状態のお砂糖まであった。
味見もさせてもらえたけれど、今日食べた方がより黒糖っぽい気がする。
黒糖の独特の香りや味が苦手なひとっているけど、シーリード族はそろって苦手なようだ。
街で少し精製したものから売られてたのは、どうやらシーリード族に合わせてたみたいだ。
クルビスさんやイシュリナさんはエルフとの交流で馴染みがあるからか普通に味見してたけどね。
これは黒蜜は難しいかなあ。あ、でも黒蜜みたいな味の蜜はあるんだっけ。
あれは香りは抑えめだったし、あの蜜があるならお砂糖での再現は無理に考えなくてもいいかもしれない。
でも、花の蜜だから、火を通すレシピの場合は香りが飛んでしまうかもしれないよねえ。
両方作ってみることは必要かあ。
よし、黒蜜レシピはもっと後で出すと。メモメモ。
「それではこちらはいちばん精製したものとそれをさらに特殊に加工して細かくしたものになります。これらはただいま開発中のものだそうで、完成すればさらにお菓子の幅が広がると私は思っております。」
開発中ってことは、メルバさんからの提供かあ。
じゃあ、ここにあるのは市場であるものばかりじゃあないんだな。
お砂糖に関してはメルバさんに相談しながらやった方がいいなあ。
和三盆みたいなお砂糖が欲しい時もあるし。この中にないかな?
あ。端の方のやつって、すごくさらさらしてる。
グラニュー糖っぽいかも。これ使ったら、クッキーとかサクサクに出来るかなあ。
うわあ。一番端のは本当に粉だ。
粉砂糖かあ。これはデコレーションに使えるよね。
きっとあー兄ちゃんがチートで作ったお菓子にでも使ってたんだろうなあ。
見たことがないと、ここまで粉状にはしないと思うし。
お菓子へのメルバさんの執念ってすごいよね。
今度クッキー作って差し入れに行こう。そして、お砂糖分けてもらおう。