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トカゲと散歩、お仕事しましょ  作者: *ファタル*
転移局のお仕事ー初日からいろいろと
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これまでの大まかなあらすじ。

たぶん、あってる。



ある日、出勤途中で異世界の森に飛んでしまったOL、里見遥加。

最初に出会ったトカゲの一族クルビスと共に、技術都市ルシェモモで暮らすことになる。

自分の魂の資質、魔素が色となって現れる世界で、黒髪の遥加は黒のクルビスとどんどん惹かれあう。

紆余曲折あったものの、クルビスと異世界で一緒にいることを決め、婚約、婚姻をすませた遥加は、今度は街の法に従って仕事を探すことにした。

新しい仕事は街の物流の要である、転移局の術士だった――。

「今日からよろしくお願いします。」



 今日は異世界でのお仕事一日目だ。

 この世界にトリップした時はどうなるかと思ったけど、今はトカゲの伴侶も出来て、こうして就職も決まってありがたい限りだ。



 胸に手を当て、新しい上司、カイザーさんにご挨拶をする。

 まずはしっかりと挨拶する。基本だよね。



 新しい上司は、遠目で見てもわかるくらい真っ黄色な体色のトカゲさんだ。

 とても偉い人なのに、威張った所のない気さくな人柄に好感を持っている。



 そんなカイザーさんはこの北西の転移局の局長さんだ。

 結婚式の夜に、クルビスさんとデートしていたら挨拶に来てくれた。



 自分を売り込もうとするひとが多い中で、カイザーさんは礼儀正しくお祝いを言ってすぐに引き下がってくれたので、初対面のことはよく覚えている。

 それに好感を持ったのと、この転移局の事情を聞いて働くことを決めたんだよね。



 そのことを伝えると、カイザーさんは本当に喜んでくれた。

 この北西の転移局は、とにかく人手が足りないのが常だからだ。



「こちらこそ。よろしくお願いいたします。本当に助かります。もう、術士1つでは限界だったものですから。」



 心からホッとしたような顔でカイザーさんが胸に手を当ててくれる。

 大変なんだろうなあ。前に挨拶して頂いた時よりやつれたように見えるのは気のせいじゃないだろう。



 現に、昼前の今もまだ荷物が積みあがっている。

 他の転移局ならもう転送が終わってるはずなのに。



 これは、街の北西は体色の淡いひと達が多い地区でもあり、差別的な見方もされていて、いろいろと問題を抱えているのが原因だかららしい。



 事実、年かさの術士さんが引退してから、今まで代わりの術士さんが配属されていなかった。

 若い術士さんがひとりで頑張っているのが現状だと聞いている。



 雨季の明けた今は、物のやり取りが一番活発な時期らしいから、余計大変なんだろう。

 コンクール関連の品やそれ目当ての観光客用の食糧で、この時期の街には毎日膨大な荷物が届くと聞いたし。



 これで他の転移局から術士を回さないって、ホントありえないんだけど。

 顧客から訴えられたらどうすんの?



 街中の転移局で一つの会社みたいなものらしいけど、中は結構分裂してるって話は本当なんだなあ。

 …自分から働くって言っといてなんだけど、転移局って大丈夫なんだろうか。



 ここの転移局は評判がいいみたいだから、ブラックな心配はなさそうだけど。

 あ、でも術士さん1つだったら、今はブラックな状況かも。



「では、我が転移局の術士を紹介しますね。キャサリンさん!ちょっと来てくれますか?新しい方が来られたんです!」



「はあ~い!ちょっとお待ちを~。」



 すごく忙しいはずなのに、それを微塵も感じさせない明るい高い声が響き渡る。

 もうひとりの術士さんって女の人みたいだ。



「ふうっ。お待たせしました~。術士のキャサリンです~。トカゲの一族ですが、お目にかかるのはお初ですね~。ご挨拶が遅れて申し訳ありません~。ご結婚おめでとうございます~。」



 もうひとりの術士さんはのんびりした話し方の明るい紺色のトカゲの一族の女性だった。

 でも、単色じゃないみたいで、頭から尻尾はカイザーさんと同じ黄色だった。



 明るい魔素の持ち主で、彼女が来ただけで場がパッと華やかになる。

 彼女が先輩かあ。うん。魔素も裏表がないし、第一印象は好きなタイプだ。



「ありがとうございます。里見遥加です。どうぞ遥加と呼んで下さい。よろしくお願いしますキャサリン先輩。」



「ええっ。せ、先輩だなんて、そんなとんでもない!私の方が年下ですし、キャサリンで十分ですよ~。」



 う~ん。すっごくあたふたしてる。

 でも、私がクルビスさんのお嫁さんだからとんでもないって感じじゃないみたい。



 驚きの魔素が伝わってくるだけだから、本当に自分が先輩って呼ばれるとは思ってなかったんだろうなあ。

 魔素で混乱してきているのがわかるし、これ以上は無理に先輩と呼ばない方がいいかも。そういうのが苦手なひとなのかもしれないし。



「では、キャサリンさん。今日からよろしくお願いします。」



「はいっ。よろしくお願いします!カイザーさん~。嬉しいです~。術士がやっと二つ~。」



「ええ。良かったですね。」



 ふたり手に手を取って、ものすごく喜ばれてる。

 本当に人手が足りなかったんだなあ。



 カイザーさんとキャサリンさんからは私を歓迎する魔素がひしひしと伝わってくる。

 うん。おふたりとも良い方みたいだし、歓迎されてるし、第一関門は突破かな?

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