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ブラックホール  作者:
2/3

親友様(1)

とても短いです。次話は親友視点。

5/6 名前、鈴木香耶→二階堂杏奈 に変更

サブタイトル変更

やあ、わたしの名前は水嶋(みずしま)那月(なつき)

私立松島小学校に通っている、明るいのが取り柄な小学3年生さ。

それにしても、夏休みは過ぎたのに、まだまだ蒸し暑いねえ。

あ、人気者の那月ちゃんの夏休みは、友達と遊んだり親戚の集まりに行ったりと大忙しだったよ。


え?宿題?もちろんおわらせましたとも。

前世スペック舐めんなよとの話です。

まだ小学3年生ですもの。

中学生卒業までの記憶のあるわたしからしたら屁のカッパですよ。

まあ、計画性なんて素晴らしいものを持ち合わせてはないから、提出日の前日に徹夜で鉛筆を動かしたとも。

従兄弟にはかなり呆れられたけどね。

あ、因みにあいつは夏休み前に宿題を終わらせるタイプだそうです。

じゃあ、親戚の集まりでしていたあれはなんなんだ!?って聞いたら、予習、って読んでいる本から顔もあげずに言われたよ。

わたしは驚愕に声も出なかったよ、くそ。




舞台の上に立っていた校長が頭を下げる。

さっきまでイライラしていた那月に、校長の反射鏡のような頭は笑いを誘った。

みんなが真面目に前を向いているなか、那月はひとり下を向いて笑いをこらえていた。

幸いなことに周りは気づいてないようである。


さて、今日は夏休み明けの始業式の日。

みんな、夏休みを満喫したようで、ほとんどの人が休み前よりも肌が健康色になっていた。

かくいうわたしは色白のため、日に焼けるとすぐに赤くなり痛みが襲ってきて、後悔しかしないので、日焼け対策はばっちりしました。

そのお陰か、休み前とあまりかわらない肌色です。



「おーい。那月、行くよー。」

後ろからかかった気だるげな声に顔をあげると、始業式は終わったようで、周りの生徒達は体育館から出て行っているところだった。


さっと立ち上がり、友達の二階堂(にかいどう)杏奈(あんな)と共に教室に向かった。

二人は隣に並んで廊下を歩く。

彼女とは、去年同じクラスになり意気投合して以来、今年も特に仲の良いクラスメートである。



「ねえ、笑ってたでしょ。」

突然の香耶からの言葉に那月は目を少し見開いた。

それを見た彼女はふっと笑って呆れ顔を作る。

「どうしてわかったのって顔してるね。でも逆に気づいてない周りの人の方がおかしいと思うのよ、わたしは。」

「違いますー。杏奈が敏感なだけですぅ。」


周りにバレていないと思っていたのにバレていたと告げられて、ちょっとむくれてしまったのは無理がないと思う。

それを見てまた彼女はふっと笑った。



ああ、その笑顔が美しいです、杏奈さん。


ストレートな黒髪を肩すれすれに切りそろえ、シャープなメガネに隠れる切れ長の目は、まだ小学生とは言えない、知的で色気がある。

将来かなりの美人さんに成長するのは間違いないないだろう。

加えて、彼女は静岡の有名茶葉を生産販売する会社の社長令嬢。

わたしも和菓子と共に幾度となく飲ませていただきました。

上品な香りで少し渋みのある味は、茶菓子を一層美味しく感じさせる。

お茶の美味しさも追求しつつ、茶菓子を引き立てるという、まさに絶品である。


このような、同年代の子供と比べてずば抜けている点をみて、時々、こいつも転生者か!?と疑うほどである。

しかし、それとなく探ってみた結果、転生者ではないことがはっきりしている。

逆に、わたしが秘密を抱えていることがバレてしまったくらいだ。

本人はなにも聞いてはこなかったが。

この件で仲が更に深まったのは言うまでもない。


幼い性格をしているわたしでも、なんやかんや中学生までの記憶があるので、そこいらの小学生とは合うはずもなかった。

いや、友好関係はちゃんとあるのだが、素で接することができなかったのである。

まだまだ純粋な周りの子供たちと、社会の黒い部分を知っている子供。

見えている世界が違うのである。

そんな時に現れた、お互いの視点が会う同年代の子供。

これはわたしにとっても、彼女にとってもラッキーな出会いであった。



「まあ、それは一理あるわ。それにしても、、、ハゲ校長の頭、反射鏡のようだったわね。」


親友様はわたしと価値観が同じなようでなによりです。


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