あかなめ、引っ越しするってよ。
『妖怪会話集』第46回妖怪会議に出てくる、あかなめくんのお話し。
「遊びに来たよ~。これ、かわうそさんと。引っ越し祝いのタオルセット。」
「いい所に住んでいますね。お家賃高いんじゃないですか?」
「ありがとうございます。狭い所ですが上がって下さい。さぁ、どうぞ。家賃はタダですよ。僕はあかなめとして契約していますから。」
「ナニ?タダ?」
「うっ~そ~。ここってどっかの会社の寮なの?」
「はい。△△百貨店の寮になってます。」
「え~っ。百貨店の従業員のお部屋で、あかなめくんの需要があるの?」
「キレイな物が好きで忙しい方には、人気です。今は、あかなめバブル期ですね。」
「アベノミクスの効果は、ここまできてるのか・・。」
「僕の場合は世間の景気にはあまり関係ないですね。一時期お風呂洗剤が進化して危機を迎えていたのですが、また盛り返してきました。お茶をどうぞ。」
「コレって有名処の芋羊羮じゃない?気が利いてるぅ~。」
「化粧品フロア担当の麗華さんから頂いたものです。僕の仕事ぶりを気に入って頂いて・・・。」
「女性もいるのか。羨ましい環境だね。」
「3Fから上の階は女性専用です。」
「ふ~ん。ねぇ、コレ゛あかなめ四十八手読本゛ってなぁに?」
「妖怪選抜試験も近いので、色んな嘗め方を勉強しているところです。」
「ほほー。それはそれは、私にも1つご伝授いただきたい。」
「バッカじゃないの~。こんなレアなの、試験に出るわけないでしょ~。」
「今回の試験はプロフェッショナルな者を求めるので、一芸に秀でた人に高得点を与える・・・と、からす天狗さんが言っていました。」
「アンタ!からす天狗様と何処で会ったのよ!」
「駅前の食べ放題の回転寿司屋で、ご挨拶しました。」
「・・・そんなとこ、からす天狗様が行くわけないでしょ!」
「お一人で、30皿以上積み上げていらっしゃいました。神々しいお姿でした。」
「・・・からす天狗様。お寿司が好物だったのね・・・。」
「あかなめくんに負けないように、私も頑張らないといけないようだね。」
「かわうそさんと私はライバルになるのね。一芸だと、変化でしょ?」
「変化は八百八狸殿がいるので、厳しいジャンルですね。」
「あの古狸がいたかー。じゃあ私は、セクシービームでいこうかな。」
「僕、猫股さんは美魔女選手権に出ればいいと思う。」
「・・・それってどういう意味?あかなめーっ!私がババアっだって言うわけ?私はギャルよ!ギャル!キーッ!」
「猫股さん・・・落ち着いて!ほら、たわし投げない!棒ずりも、それはあかなめくんの商売道具ですよ!」
「フーッフーッフーッ!」
「ごめんなさい。猫股さん。この前の、おたふくでの親睦会で、蛇骨婆さんから、『あぁ見えても猫股とワシと、そう年は変わらん』って聞いたから。そのセンでいけば高得点も夢ではないかも・・。」
「まだ言うかーッ!」
「やめなさい!猫股さん!」
「助けてーっ。痛いよー。爪がーっ。」
「フーッフーッフーッ」
「帰りますよー。ほら、引っ掻かないで。猫股さん。」
「キーーっ!」
「あかなめくん失礼するね。ほら、きつねうどんご馳走してあげますから。」
「キーーっ!」
「お、お気をつけて~。」