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1話 将門塚で配信中!

2028年の女子高生配信者が、100年前の帝都で「スマホ」と「コンビニ」を武器にガチサバイバル!?


はじめまして、作者のふらいんぐタートルです。

本日はスタートダッシュとして、第1話から第3.5話(冴子視点)まで一挙公開いたします!

以降は毎日19時頃に更新、まずは第1章のクライマックスまでは欠かさずお届けします。

(第1章は全27話、完結済みです)

 あなたは東京駅に行ったことはあるだろうか。


 有名なのは丸ノ内側のレンガの駅舎だ。ビルが立ち並ぶ中にドドーンとレンガ造りの建物が横たわる。大正時代から続くその美麗でノスタルジックな眺めは、写真か何かで一度は見たことがあるだろう。見たら、ちょっと行きたくなるかもしれない。


 忠告する。行っちゃだめ。


 仕事とかそういう事情なら仕方ないけど、喜んでのこのこ遊びに行くのはやめた方がいい。

 特に夜は。


 なぜって?東京駅の地下には、実はこんな噂があるのだ。

 気が付いたら、後ろを歩いていた人がパッといなくなった、っていうやつ。

 これね。ほんとだから。


 なぜそんなことがわかるかって?


 私がそのパッといなくなった人そのものだからだよ!!!


 はいごめん。取り乱しました。

 でもね、私と同じものを見たら、誰だって取り乱すと思うんだ。


 目の前にあるのは、件のレンガ造りの駅舎。

 でも、背後にそびえる無数の高層ビルは影も形もない。無数の星が見えるほど真っ暗な空の下では、むき出しの電球が青白い光で瞬いている。

 明かりの下にいるのは洋装・和装入り混じった人々。なかには軍服姿の男たちも見受けられる。

 彼らが乗り込んでいくのは、人力車や馬車で、中には黒塗りのクラシックなタクシーもちらほらって感じ。


 わかるかな?

 ノスタルジーなのは建物だけじゃないんだよ。世界そのものがノスタルジーなんだよ!


 要するにだ。私は、現代の東京駅からぱっと消えて、100年前の東京駅に迷い込んでしまったのだ。







 なぜこんなことになったのか、少しさかのぼろう。


 2028年3月27日午後8時。

 私は帰宅する人々の波から少し離れた場所でひっそり配信を開始した。


「この世界は一つじゃない――はい!皆さんこんばんは。フォッグ研究所のヨルがお送りします――あ、スパチャありがとうございます!この後のおやつにします!」


 スマートフォン用ジンバルにLEDライトをつけ、進行方向を撮りながらスマホに一人喋り続ける。

 東京に上京して早一年。馬鹿みたいにバイトにバイトを重ねつつ、こうやって深夜に配信映像を撮る生活にもすっかり慣れた。

 ザ・社会人って感じのサラリーマンたちが、いかがわしいものを見たという顔をしてスッスッと通り過ぎていく。

 配信を始めたころは気になって気になって仕方なかったそれも、今では全く気にならない。配信者という生き物はゆるぎない無恥力を持っているものなのだ。


「今、私は東京の大手町駅にいます。今から向かうのは、超有名なオカルトスポットの一つ。あの!将門塚です!場所は駅の出口から出てすぐ、ほんと大都会の中心にあるんですね。えっと、こっちの方向でいいのかな?え?違う?逆?あーまたやっちゃった。――そこ、ポンコツとか言わない!」


 こうやって顔は出さず一緒にスポットにたどり着くまでを撮ることで臨場感を伝えるのが私のチャンネルのスタイルだ。

 ちなみに道をよく間違えるのはいつものことだ。こういう生っぽい反応とちょっとした考察を売りにして、私が手がけるチャンネル「フォッグ研究所」はオカルト系のチャンネルとしてちょっとずつ視聴者を伸ばしている。


「ここら辺のはず――お、なんかそれっぽい場所が見えてきました。って、え?もしかしてこれ?」


 ビルとビルの間に、その塚は無造作にぽつりと建っている。最低限の空間だけ用意して砂利を敷き詰めてはいるものの、正直、安っぽい。少なくともおどろおどろしさなど全くない。肩透かしもいいところだ。


 しかし、私のチャンネルではここからが本番だ。


「はい。目的地に到着しました。見えてます?はい、なんか普通。綺麗に整えてますけどただ石碑と石があるだけって感じです。でもね、ここの場所に潜む情報を加味したら、――もう一つの世界が見えてきますよ」


 

 私の名前は朝霧陽菜(あさぎり ひな)。これでもプロのYouTuberだ。

 もちろんプロなんて言っても、それで食べていけるような稼ぎじゃない。それでもこの一年、試行錯誤を繰り返した結果、ようやく最近収益化条件をクリアして月々2万程度稼ぐことができるようになった。


 始めは本当にダメダメだった。無闇矢鱈にいろいろなジャンルに手を出しても全く視聴者がつかない。そんな中で、少しずつ芽が出てきたのがオカルト系配信だ。これまでの人生バイトばかりで特に趣味も特技もない私でも怖い場所に行って怖がることくらいはできる。

 それに加えて、このチャンネルならではの色付けが思いのほか功を奏したようだ。


「それでは、毎度おなじみ『情報物理学』について確認していきましょう。これは私たちがしゃべったり、書いたり、信じたりすることで生まれた『情報』は、実際に世界を物理的に変化させる、という考えを検証していく学問です。この誰もが否定する現象に、本研究所は徹底的に取り組んでいきます」


 それがこのなんちゃって設定、『情報物理学』だ。

 イメージは、妖怪漫画とかによく出てくるアレだ。人々が信じることで、妖怪が本当に世界に現れるとかそういうやつ。それをカッコつけて『物理学』とか呼んでいる。言ってしまえばそれだけだ。


 勿論、雰囲気付け程度ではただの痛いチャンネルにしかならない。

 こういうネタで成功する道は一つ。恥を捨て去って、本気でやることだ。

 ただのアピールだとか設定だとか思わない。絶対にそういうことがあると信じ切って、ちゃんと調べて、真剣に取り扱っていくこと。

 これが重要だ。


「情報は現実になる。将門塚(まさかどづか)の事例はまさにその実例です。今からちょうど100年前、ある新聞がこの地の祟りを広く世に広めることとなりました。なんと文明開化からはや半世紀以上というこの時期に、国家機関たる大蔵省が、正式に、祟りの存在を認めてしまったというのです」


 ここからは真剣モード。あらかじめ調査した内容でぐっと空気を作っていく。


「こちらがその記事の切り抜きです。これが東京朝陽、こっちは辻売新聞の記事ですね。

 この地は元々将門の塚が建っていた。

 ですが1923年、関東大震災の後、大蔵省の仮庁舎をここに建てようという話になり、この塚を潰して整地してしまった。それによって大蔵省や工事関係者に謎の変死が相次いだというんです。

 それにたまりかねた大蔵省がついに鎮魂祭なんてやっちゃった。

 大蔵省ですよ?しかも金融危機のすぐ後だというのに、しっかり金をかけてこんなことをやっている。

 このことが、少なくとも当時関係者を脅かす何かがあったという事実を如実に物語っています。


――それがちょうど100年前の今日、1928年3月27日の出来事です。

 今日は怪異の存在をお堅い近代国家が認めちゃった、文明敗北の記念日なんです」


 そう、今日の配信はライブで行くと決めたのはこれが理由だ。

 この、ちょっとした情報一つが、何でもない石碑しかない空間をおどろおどろしく演出する。

 なにせ100年という区切りの年だ。そんな日に、その場で生ライブをする。もしかしたら何か起こるのでは、と視聴者たちもざわついてくる。


「さて、ここからが情報物理学のお話です。実は、意外なことにこの将門の塚が大変な目に遭ったのは、これが初めてじゃないんです。

 例えば1907年、将門塚は素人によって勝手に掘り返されてるんです。これがその時の記事ですね。

 でも、この時は特に祟りだのなんだのという話にはなっていません。一方、1928年以降は、祟りの噂は事欠かない。実際に、被害も出ています。

 さて、何がこの違いをもたらしたのか、それがズバリ、情報であると本研究所は考えます」


 私は勿体ぶって指を二つ立てる。


「一つはマスメディアから発信される情報量の違いです。

 1925年にラジオ放送が開始されて数年、人々の間に街頭や電気屋の店先でラジオを聞く文化はすっかり広がりました。この頃のラジオの演目に講談や怪談噺(かいだんばなし)はつきもの。1928年ごろには将門の名は人々の間に知れ渡っていたことでしょう。

 さらに新聞記事では何回か将門の塚の惨状が取り扱われます。これまでにない数の大衆が、何かあるかもしれないと、そう考えるようになったのは間違いありません」


 私はそこで一度言葉を区切って続ける。


「そしてもう一つは世相に充満する情報の質の違いです。

 1907年はまだ好景気が続き、人々の心には日露戦争に勝利したお上への信頼が残っていました。

 一方1928年前後はまるで違います。

 関東大震災であらゆるものがひっくり返り、昭和恐慌で経済はどん底、少し前になりますが1923年の虎ノ門では摂政宮(せっしょうのみや)、後の昭和天皇を暗殺しようとする事件が起きるほど人々の心は荒れてきました。

 そんななかでの事件です。

 当事者は痛い目にあってしまって当然、むしろ是非そうなってほしいという不謹慎な欲求が人々の心になかったと誰が言えるでしょう」


 私の言葉を視聴者たちは静かに聞き入っていた。私は内心でニンマリとした。よしよし、なんとか挽回できたかな。私は調子に乗って続けた。


「何かが起こるかもしれない。何かが起こってほしい。

 そんな思いに、情報に、世界は敏感です。


――さて、今日はその出来事から100年目です。

 条件もなんだか当時の東京と似通ってますよね。続く不況と混乱、不安を煽るたくさんの情報、そして人の不幸を望む無責任な人々の群れ。


 そう考えるとどうでしょう?何かが起こる、そんな気がしてきませんか?

 私は塚を荒らしたりなんてしませんし、祟られることはないと思いますが、それでも不気味で不可思議な世界は、きっとすぐそばにまで近づいてきている。そんな予感がします。

 例えば当時事故死した人たちが霊になって現れたり、見知らぬ世界にひきこまれたり…。そんなこともあるかもしれませんね。


 …私、無事にうちに帰れますかね?言ってて怖くなってきましたが、そろそろお時間ですね!

 今日の調査はここまで!みなさん、是非私の無事を祈っててくださいー。ではまた!」


 カメラの前にひょいと手を出し振ってから数秒、私はスマホを下ろしてふぅっと息をついた。

 これで今日の配信は終了だ。


 反応も視聴者数もまずまずといった感じ。欲を言えばもう少し伸びてほしかったなと思いながら私は思い切り伸びをする。


 しかし何度やっても生放送はしんどいな…。ずっと喋りっぱなしだし、失言やミスも許されない一発勝負という状況は神経をガンガン削っていくんだよ。

 しかもこの後バイトなんだよなぁ…あー、サボりたい…。

 幸いバイト先はここから歩いて10分くらい、東京駅のすぐ近くのコンビニだ。この後仕事場まで長々と移動しなくていい分ありがたいとも言える。ま、だからこそ、今日この企画を入れたんだけどね。


 さて。ここから地上を歩いて行ってもいいが、人気のない深夜のオフィス街を若い女の私が一人歩くのもあまりよろしくない。先ほど出てきた大手町の地下通路はそのまま東京駅につながっているのだ。安全を考えるならこの地下通路を通ったほうがいいだろう。


「えっとどこから出たんだっけ?こっち側で合ってるよね?」


 さっきも間違えそうになったんだっけと思いながら一旦歩き出す。さっきあんな話をしただけあって、本当にちょっと怖くなってきた。

 気持ち早歩きで歩いていると、すぐに駅の出口を見つけられた。少しホッとした気持ちで私は駆け込んだ。


「ん?ここの階段、こんなんだったっけ?」


 ほんの一瞬、違和感が脳裏に走った。なにかがそぐわない。そんな感覚だ。でも見た目は特におかしな点はない。ごくごく普通の駅の出口だ。


「ま、いっか」


 少しでも遅刻をすると店長は本当にやかましくなる。その怒鳴り声を思い出して、少し首をすくめながら私は階段を駆け下りた。


「……あれ?」


 階段を降り切ったそこは、先ほどとは違い、明確な違和感に満ちていた。


 暗いのだ。


 夜の駅なんてどこだって薄暗いがそういうレベルじゃない。

 ほとんど真っ暗だ。電気が完全に落ちている。


「え?なに?もしかして停電?」


 東京の駅がこんな風に完全に停電になることもあるのか、と間の抜けた感想が頭をよぎる。

 とにかく、これならさっさと引き返して地上から行った方がいい。

 そう思って振り返った、そのとき


「ひ、ひぃぃ!」


 私は思わず悲鳴を上げてしまった。


 階段の上に、何かがいた。


 何かというか、何人かというか。

 薄汚い肌シャツみたいなものの上に祭りで着る法被みたいなものを着て、下にはいているのは忍者が履くようなぴっちりしたズボンっぽいやつ?これ伝わる?とにかくそんな恰好の男たちが数人。あとは少しピリッとした古風な背広姿に中折れ帽、図面らしきものを丸めて手にしている人もいる。


 それだけだったら、ただの工事関係者という感じだが、明確に彼らには異様な特徴があった。


 血だらけなのだ。


 事故に遭ったのか、腕が不自然に折れ曲がっていたり足がもげたりしている。

 彼らがぼうっと私の行く手をふさぐように立ちふさがっている。

 ただよってくる鉄臭い匂いに思わずえずきそうになる。


 え?え?もしかして、ほんとにあれ?将門塚の事故で死んだ幽霊?

 いや、そんなはずないでしょ。メイクとかじゃ、……なさそう。血のりがこんなにおいするわけないでしょ。


 まずい。これは本気でまずい。


――かつん


 彼らのうちの一人が、不意に段を一つ降りた。それが合図だった。


 私がジンバルについたライトで前を照らしながら走り出すのと、男たちが階段を駆け下りるのがほとんど一緒だった。


「やだやだやだやだ!!」


 この暗闇だ。頼りになるのはこのライトしかない。

 私は転びそうになりながらも転がるように走っていく。

 見ると、スマホがなぜか録画中になっている。そういえば、先ほどちゃんとカメラを切っていなかったかもしれない。

 でもいまはそんなこと関係ない。

 男たちは、音もなくスルスルと滑るように近づいてくる。物理的におかしいだろって動きだ。もうそれだけで怖い。

 とにかく奥に逃げこもうとして――私は何かにぶつかった。


「あいた!」


 あまりの痛さに私はうずくまる。ちょうど後ろを向いていてよかった。顔からぶつかったら本当に目も当てられない状態になっていたかもしれない。

 涙目になりながら手で探ってみると、駅の奥に続く道が透明の何かでふさがれているみたいだった。


「そ、そんな、こんなときに…!」


 透明の壁を何度もたたく。

 壁は音すら立てなかった。

 そんな中、ざりっという地下足袋がこすれる足音がする。


「あ…」


 振り返るとすでに手遅れだった。

 血まみれの男たちは、完全に私を取り囲むように広がっている。逃げ場なんてない。


「だ、だれか、だれか」


 私は意味もなく、スマホを彼らに向けた。

 映像が配信中の状態になっている。

 私は視聴者に向かって叫んだ。


「誰か助けて!助けてよ!」


 意味なんてない。この状況、助けなんて来るわけがないのだから。


 

 ただ面白ければいいとおもっていた。

 恐怖演出なんてただ盛り上げるためだけのお遊びで、こっちに火の粉が飛んでくることなどないと高をくくっていた。



 だからこうして終わる。何もなさないまま。一人、無意味に。


――せめて誰かの名前でも叫んで、死にたかったな


 私に伸びる手を、ただ茫然と見つめながら、そう思った。

 叫ぶ名前なんて、私にはない。




「ふせて!!」



 

 急に声がした。私は反射的に体を伏せる。


 すると頭上を何かがヒュンっという鋭い音を立てて通過して、男たちの一部を薙ぎ払った。

 そうやって生まれた隙間を誰かが駆け抜けてくると私に背を向けて再び叫んだ。


「逃げなさい!」


 それは、古風な格好をした女の子だった。えんじの矢絣柄(やがすりがら)の着物に紺の袴。なんというか大正とか昭和の時代劇に出てきそうな女学生の格好そのままという感じだ。

 手にはなんか竹竿のようなものを持っている。女の子は更にひゅんひゅんと竹をしならせて男たちの足をすくう。男たちは面白いように簡単に転がった。


 そうはいっても多勢に無勢だ。転がる先から男たちは立ち上がると女の子に手を伸ばしてくる。

 途端、その男たちの首元に何かが閃いたかと思うと、バタバタと倒れていく。刃だ。見るといつの間にか女学生は竹竿を小さい刀みたいなものに持ち替えて戦っていた。


 あまりの非日常な光景に、私は思わず放心する。 


 小刀を片手に女の子が流れるように動き続ける。刃の軌跡は、まるで三日月のようだ。

 そんなことを考えていると


「何をぼさっとしてるの!逃げなさいと言っているでしょう!」


 再び鋭い叱咤が飛んできた。

 その声を受けて、私は夢から覚めたように走り出す。


「ありがとう!」


 走る先は、逃げてきたのと反対側、駅の出口だ。

 幸いというか、申し訳ないことにというか、男たちは謎の人物にかかりきりでこちらにはついてこない。

 このままこの場にいて何ができるわけじゃない。だから一秒でも早く逃げる。そうしたら、人を呼ぶなりなんなり、私にもできることはある。

 真っ暗な駅の道から見たら、夜の街に続く出口さえ、なんだか明るく見えるから不思議だ。

 

 急げ!

 階段を2段飛ばしで駆け上がり、そして、そして―――。



 

 そして。私は、やっぱり立ち止まってしまった。




 先ほど見ていたビル街なんて、そこにはなかった。


 代わりに、背の高いちょっと古風な洋風のビルがちらほら。後は背の低い木造の建物が点々としていたり、そこらへんに材木が積み上げられていたりと雑然としている。開発中という感じの光景だ。


 そして、目の前の開けた空間にはしめ縄だとかギザギザの紙でつくられた紙垂だとかが飾ってあり、その真ん中に白木でできた真新しい祭壇とお供え物が並んでいる。


「え?ど、どういうこと…?」


 さっきまでこんな光景じゃなかったはずだ。こんな一瞬で風景が一変しているなんて、あり得るわけがない。

 さっきのこともあれだし、もしかして、これ夢?今日の配信のこととか考えすぎて、悪夢とか見ちゃった?ベタに頬をつねってみる。うん。痛いところまでベタ。


 ぐるぐると混乱する中で、ふと、立て看板に目が留まった。




平将門公(たいらのまさかどこう) 鎮魂祭 斎場」

「昭和三年三月吉日」

「大蔵省 神田明神(かんだみょうじん)





 東京駅では人がパッと消えることがあるらしい。


 それはきっとこんな感じなのかもしれない。


 1928年、今から100年前の東京。


 きっと彼らは、そんな場所に迷い込んでしまったのかもしれない。


 私のように。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

2028年から1928年へ。100年の時を越えた陽菜の冒険がここから始まります。


いきなり100年前の東京に放り込まれた陽菜の目の前に現れるのは、まさかのコンビニだった?

そんな2話、3話と、そして今回の事件を別視点から描く3.5話「壱 神隠しの裏側」まで連続で投稿いたします。


少しでも先が気になった方は、ぜひブックマーク等で応援をいただけますと、執筆の大きな励みになります!

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