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「実況影泥棒 ~コメントが闇を照らす!?~」  作者: nekorovin2501


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第1章: 影の始まり ~実況モード、オン!~

俺の名前は佐藤健太。いや、だった。二十五歳、無職、引きこもり歴三年。毎日をオンラインゲームに費やし、現実から逃げていた。画面の向こうで仮想の宝物を盗み、敵を出し抜くスリルが唯一の生きがいだった。あの日はいつものように、深夜にPCの前でMMORPGをプレイ中。突然、画面がブラックアウトし、頭に激痛が走った。

「うわっ、何これ……心臓が……」

次に目覚めた時、俺は森の中にいた。木々が空高くそびえ、鳥のさえずりが響く。ファンタジー世界みたいな景色。いや、待て。これは……異世界転生か? 流行りのなろう小説みたいに?

慌てて立ち上がると、頭の中に声が響いた。

【システムメッセージ: ようこそ、異世界エリュシオンへ。あなたは転生者として召喚されました。クラス割り当て中……】

視界に青いウィンドウが浮かぶ。ゲームのUIだ! 興奮が湧く。俺のクラスは……勇者? 魔導師? いや、待てよ。俺みたいな陰キャがそんな派手なの似合わねえよな。

【クラス確定: 影の盗賊。特殊スキル: 影移動(Lv1)、セキュリティ解析(Lv1)。目的: 魔王の闇のオーブを盗み、世界を救え。】

「影の盗賊……? 勇者じゃねえのかよ! まあ、ゲームじゃシーフクラス好きだったけどさ……」

苦笑する俺に、さらにメッセージ。

【追加機能: 実況モードをオンにします。この世界の冒険を、異世界の視聴者たちに配信。コメントがあなたの力になります。視聴率が高いほどボーナスあり。オフ不可。】

「は? 実況モード? 配信って、YouTubeみたいな? 冗談だろ……」

すると、頭の中に別の声が響き渡った。テンション高めの男性声。まるでeスポーツの実況アナウンサーみたいだ。

【実況: みなさん、こんにちは! 闇の監視者AIがお届けする『実況影泥棒』、スタートです! 新しいプレイヤー、シオン選手が登場! あ、名前はシステムで変更されましたね。シオン、森の中で戸惑ってる様子。視聴者の皆さん、初コメント待ってます!】

視界の端に、コメントがポップアップし始めた。ゲームのチャットログみたいに。

[視聴者A(村人): 新しい盗賊か。弱そうw]

[視聴者Bエルフ: 影移動使ってみて!]

[視聴者Cゴブリン: すぐ死にそう。賭けようぜ]

「なんだこれ……マジで配信されてんのか? 視聴者が異世界の住人? ゴブリンまでいるし……」

頭を抱える俺。プライバシーの欠片もない。しかも、名前がシオンに変わってる。システムのせいか、体も少し引き締まって、黒いマントみたいな服を着てた。ステータスを確認すると、レベル1、HP低め、敏捷高め。典型的なシーフだ。

【システム: 初級クエスト発行。近くの村で、農民の貯金箱を盗め。成功でEXP+50、視聴率ボーナスあり。失敗でペナルティ。】

「貯金箱? そんなしょぼいものからかよ……でも、仕方ねえ。行ってみるか。」

森を抜け、村に到着。木造の家々が並ぶ小さな集落。夕暮れ時で、人影は少ない。ターゲットの家は、クエストマーカーが示す農家の小屋。窓から中を覗くと、老夫婦が夕食中。棚の上に小さな木箱が見える。あれが貯金箱か。

心臓がドキドキする。ゲームじゃ何度もやったけど、現実(?)じゃ初めて。深呼吸して、影移動を発動。体が影に溶け、壁をすり抜ける感覚。クールだぜ、これ。

実況の声が再び。

【実況: おおっと、シオン選手、初潜入! 影移動を使って小屋に侵入中。視聴率上昇中! コメントがどんどん来てますよ~】

コメントが加速。

[視聴者D(商人): 箱の鍵は簡単だぞ。解析使え!]

[視聴者E(冒険者): バレたら終わりw 頑張れよ]

[視聴者F(貴族): こんな小さい盗みで満足か? もっと大物を狙え!]

「コメントがヒントになるのか……なるほど、システムの設計だな。」

棚に近づき、セキュリティ解析スキルを使う。視界に箱の構造が浮かぶ。簡単な南京錠。ピッキングツール(システムが自動で提供?)でカチッと開く。中身は銅貨十枚くらい。しょぼいけど、初回クエストだし。

箱を抱えて影移動で脱出。外に出た瞬間、達成感が湧く。

【システム: クエストクリア。EXP+50。視聴率ボーナス: 敏捷+1。】

レベルアップの通知。体が軽くなった気がする。

【実況: 見事クリア! シオン選手、初勝利です! 視聴者の皆さん、拍手~。次はもっとスリリングなクエストかな? コメントでリクエスト待ってます!】

コメントの嵐。

[視聴者A: 意外と上手いじゃん]

[視聴者G(魔族): 次は俺の巣窟に来いよ。宝守ってるぜ]

[視聴者B: もっとエンタメ寄りにしろ! 派手な失敗期待w]

息を吐く俺。疲れたけど、なんか楽しい。ゲームみたいで、現実のストレスがない。だけど、この世界の本当の目的は魔王のオーブを盗むこと。貯金箱から始まって、どんどん大きな宝を狙っていくのか……。

村の外れで休憩中、遠くから足音。誰か来る? 警備兵か?

【実況: おっと、ピンチ? シオン選手、逃げるか戦うか! 視聴率急上昇中!】

「くそ、早速かよ……」

影に溶けて逃げる俺。心の中でつぶやく。「この実況、うざいけど、案外役立つかもな。」

こうして、俺の影泥棒生活が始まった。次は街の商家か? 宝物の価値を上げていきながら、視聴者の反応を味方につける。勇者みたいに剣を振るうんじゃなく、闇から世界を変えるんだ。

――続く。

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