賢き男とイカれたオッサン
気が向いた時に気が向いた分量だけ書いて投稿していくつもりなので、完璧に文の長さが違います。仕様ですすみません・・・
もう完全に手遅れのようだった。光球にひびがはいったと思ったら、見る見る内にひびが広がって行ってほんの五秒程度しか経っていないというのに今にも割れそうだ。
そんな状況になった今、翔真にはそれを見守ることしかできなかった。
「ピキピキピキ・・・・・パカッ」
案の定すぐ開いたが、それでもやはり呆然として見守ることしかできない翔真は「あっ」と呟いただけだった。
それでも、光球の中にあったモノが見えた時は未知との遭遇に流石の翔真もいよいよその光景が夢であることを望んだし、そうでなければ自分が狂ったのではないかと思った。
なぜなら、割れた光球の中に見えたのは、ひょろっとした四〇歳くらいのオッサンだったから。
向こうも、翔真が見ているのに気付いているのか、緩慢な動きで光球の中から姿を現した。
顔は彫りの深いヨーロッパ系と思われる顔と同じくヨーロッパの人間に多いであろう金髪。そして、何よりも特徴的なのは、その身長の高さ。大体だが二メートル五〇センチ程度だと思われる。それと、真っ白なシーツを体に巻いて肩で留めただけのような、さながらギリシャ神話に登場する天使のような服装だった。
そんな、頭のイッちゃってそうな人の幻想か何かが見えてしまっている自分の身を心配して項垂れていると、
「榎本、翔真くんかね?」
頭イッちゃってる人から話しかけられた。
(この人日本語流暢だな~。あ、ファンタジーなんだから当たり前か)などと自分の頭がイカれたと諦め気味な翔真は、
「・・・そうです」
開き直った。
翔真は頭が良かったために物事に対し非常に客観的に考えることができ、そのおかげで(頭がイカれた)という答えを導き出すことのできた。その答えは間違いではあったのだが、それによって開き直ったことは結果的には他のどういう反応よりも良かっただろう。
「そうか・・・・・すまないことをした」
開き直った翔真は、いきなり変態から頭を下げられ、謝られたところで心を乱しはしなかった。冷静に、普通の対応をする。
「なぜ謝るのですか?」
どんなファンタジーな返答が返ってくるのだろうと予想をつけていた翔真は、
「君の生まれる世界を間違えてしまってね」
との答えに(やっぱ異世界パターンか)と思い、同時に(ラッキー)と思っていた。
正直、翔真は小さい頃から<他人とかけ離れた存在>になりたいと思っていた。(周りの人間と同じ道を辿るだけじゃ人生楽しくないから。やはり楽しくするには他人と全然違う、新しい道を行かないと。)常々そう思っていた。
だからこそ、頭がイカれただろうことには悲しんでも、こと非常識な言葉には
「どういうことか詳しく説明してください」
嬉々として返答してしまうのだった。
「君は元々は違う世界に生まれるはずだったんだ。
一つの世界に対して一柱の神がいる。自分の受け持つ世界に生まれる予定の魂に肉付けして世界にその生を反映させるのは神の仕事の一つだったんだ。
だが君の生きていた世界の神は、本来他の世界で生を反映させられるはずの君の魂を自分の世界に反映させてしまった。
だから今回は、君が元々生まれるはずだった世界に戻そうと思って呼んだんだ」
翔真に対し、非常に申し訳なさそうに話すオッサン。
「ある程度は分かりました。ですが、分からない部分もあるので質問いいですか?」
「え?・・・あ、ああ。答えよう」
少しも戸惑った様子のない翔真に呆気にとられていたようだが、質問に答えることを承諾してくれた。
「では・・・
世界は全部でいくつあるのですか?
どうして生まれる予定の世界と同じ世界に肉付けして反映させるだけなのにミスが起きるのですか?
僕の元々生まれる予定だった世界はどんな所ですか?
元の世界に戻ることは僕に何のメリットがありますか?
そして、あなたは誰ですか?
この五つの質問に答えて頂きたいです」
質問を聞き始めると呆けた顔を普通に戻し、質問を聞き終えた時には感心しているように見えた。
「君はすばらしいな。普通じゃこうはいかない。
では答えようか。
まず一つ目だが、大体一億の世界がある。崩壊したり新しくできたりして、一億から大幅に増えたり減ったりしないようになっている。
二つ目だが、世界毎に生まれる予定の魂がでてくるのではなくて全部の世界の魂がそこら中を飛び回っているんだ。神々はそこから自分の担当する世界の魂を選び取って肉付けし、反映するから本当に数える程しかないけれど間違いはあるんだ。
三つ目に関してだが、君の生きていた世界には科学が発展していたのに対し、君の本来生まれるべき世界には魔法が発展しているよ。
四つ目の質問・・・君へのメリットの話だが、神のミスで間違った世界に生まれた者には、元の世界に戻る際に何かしら望んだ力を与えるようにしているんだ。やはり限度があるけどね。
そして、五つ目。自己紹介が遅れてすまなかった。私は一億の神を統括する者。<絶対神>と呼ばれているよ」
翔真は、話を聞いて自分の理解できなかった部分が明らかになって(ふむふむ)とか(やっぱりそうか)などと思っていたが、絶対神とやらが質問に答えきった時にはもう(力か・・・何がいいかな)とどのような力を授けてもらうかという事しか頭になかった。
やっと主人公以外がでました。オッサンです。でっかいです。実は神さまです・・・
話の流れは考えてあるので、気が向いた時にまた書いて投稿します。