零れ落ちた言葉 Ⅳ
グワラニーとフィーネの雑談のような会話。
それはこのようなもので締めくくられていた。
フィーネが帯びた笑みを浮かべながら口を開く。
「実は数年前まである不安を持っていました」
「二十歳を過ぎたら知識と能力が失われ、顔だけが取り柄の無能な女になるのではないかと」
もちろん周辺の者たちを見ればそのようなことはないわけだし、彼女自身もそのようなことを爪の先ほども思っていなかった。
そう。
これはある界隈への大いなる皮肉。
もちろんグワラニーもすぐに気づき、大いに頷き、それに応じる。
「たしかに」
「ですが、あなたと同行している三人の剣士はたしかに二十歳未満ですし、あなただって十分に若いです」
一見するとフィーネの言葉を否定しているように思えるがそうではない。
更なる皮肉。
今度はフィーネが頷く。
「そういえば、あなたも実年齢はともかく見た目だけなら高校生レベル。それにあなたの結婚相手は小学生レベル。あながちあの話は間違っていませんね」
「ですが、大人が子供に助けられるだけの存在というのはどう見ても気持ちが悪いものです」
「実力主義の恩恵を受けている身ですから、凝り固まった年功序列は肯定しませんが、その点について同意します」
「勢いと気合だけを糧に前に進むだけで乗り切れるものなどそう多くはない。失敗を含めた多くの経験から学ぶことを軽んじ、引くことを知らない者は必ずしっぺ返しを食らいます」
「そうですね」
「もっとも、経験を活かせない馬鹿な年寄りも多いのですが」
「同意です」




