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アグリニオン戦記外伝 Ⅳ  作者: 田丸 彬禰


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為替で儲ける方法 Ⅰ

 別の世界と同じくアグリニオンと呼ばれるこの世界でも多くの通貨が存在する。


 というか、多数の種族が多くの国に分かれ、対立しながら存在するにもかかわらず、単一通貨、単一言語で話を進めるなど、たとえ物語の世界であっても手を抜きすぎというものであろう。


 この世界では各国を支配する王家が貨幣の鋳造権を握りる。

 そして、この交換レートが国のランキングに比例するなどという神話が存在し、それがほぼすべての金貨を魔族に取り上げられたにもかかわらず、金や銀の含有率を下げた新貨幣の鋳造をノルディアが躊躇う理由でもある。

 まあ、そのためにノルディアでは国内に流通している貨幣のほぼすべてが銅貨というとんでもない状況に陥っているのだが。

 そして、その各国の王家の妙なプライドのおかげで金や銀の含有率に変更は起こらず、交換レートは安定しているというのがこの世界の現状である。


 さて、それだけ多くの通貨が存在するなら両替するだけで儲けを出そうと考える者は当然現れる。

 そして、彼らが考えるその方法はもちろん別の世界の為替相場で儲ける方法と同じ。


 ある通貨を安く買い、高く売る。


 だが、最初に言ったとおり、この世界では交換レートは固定されているため、変動相場制のように「安くなった通貨を買い、高くなったところで売る」ことができない。

 実際、各国の交易ではこの世界の交易を支配している商業国家アグリニオンの政府が定めた交換レートで支払いがおこなわれるので期待したことは起きない。


 ただし、物事は何事にも裏表があるように、この交換レートにもそれがある。


 交易の際には定められた交換レートを使用する。


 この文言には抜け道があるのだ。

 つまり、交易での支払い以外では交換レートは各国で決められる。

 では、そのような場面はどこで発生するのかといえば、外国人が自国の通貨で支払いをおこなったとき。

 そう。

 この世界は正式な貨幣であれば、どの国の貨幣でも通貨として使用できるということが原則になっている。

 ブリターニャ金貨を使ってアリターナで買い物ができるというように。


 そのときに起こるのである。


 つまり、各国が自国通貨を定められた交換レートより強くする。

 露骨に。


 たとえば、公式レートではブリターニャ金貨はフランベーニュ金貨十枚と等価だが、ブリターニャ国内での買い物時においてはフランベーニュ金貨二十枚と同価になり、逆にフランベーニュ国内でフランベーニュ金貨五枚の価値に下がる。

 まだある。

 交易の際の支払いは支払い側の貨幣でおこなうという取り決めが存在する。

 当然ある場所には他国通貨が山ほど貯まる。

 だが、交易での支払いにはそれは使用できない。

 そこで登場するのが両替商となるわけなのだが、ここでこの世界独特の仕組みが邪魔をする。


 現金主義。

 国が定める場所を除いた両替業務の全面禁止。


 前者はともかく、後者についていえば、極端なまでの自国通貨優遇策はどの国の通貨も使えるという制度が持つ欠点のひとつである使い勝手がよく強い通貨に自国通貨が駆逐されるという事態を避けるためのものなのだが、これによって、捕まれば死罪覚悟で商売しているためそれほど良いレートとは言えない闇両替を除けば、両替しようがしまいが、他国の通貨はどこでも本来の半分の価値で流通することになる。


 では、貯まったしまった外国貨幣をなるべく損をせずに自国通貨に変えるにはどうしたらよいのか?


 答えは公的な交換レートで取り引きするアグリニオンへ持ち込む。

 これであれば約一割の両替手数料を支払っても十分にお釣りが来る。


 ただし、アグリニオンとの取引代金に大量に保持している他国通貨は使えない。

 結局、アグリニオンで両替をすることがもっとも損が出なくて済む。

 そう。

 ここでもアグリニオンの商人たちの独相場なのである。

 もっとも、それを利用して両替を管理する各国の政府も差額を手にするのだから、彼らも利を得る側といえるのだが。

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