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僕とベルの『自白会』  作者: 一生春(イチキ ハル)
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~「僕はただ前へ進みたかった」「私はただ味方が欲しかった」・・・なのに、どうして、これ程まで涙が欲しくなる?~

プロローグ:「最初のノート」

野亘さきの たけるは六歳の時、自殺をしようとしたが思いとどまり、未遂で済んだ。

しかしその後になってからその行為が亘の心に自己嫌悪、後悔、自分自身への恐怖として深く刻まれてしまった。

さらにその心は、他人からの視線への恐怖、落ち着きを失った行動、マイナス感情、対人恐怖、挙動不審など次から次へと亘が思いとどまった心を逆なでしていった。

そんな心の葛藤が収まらない小学一年生の入学式の帰りは、自分の両親の笑顔と周りの幸せいっぱいに満ちた光景。

家族はみんな優しいし、幼稚園からの友達だっている。

綺麗な桜吹雪の下での記念撮影。背中にはピカピカのランドセル。その中に入っている真新しい教科書やノート。ランドセルのサイドフックには真新しい給食袋が下がっている。そして、道具袋ぎっしりのその他のたくさんの使われることを待ち望む教材。

何処を見ても、誰を見てもキラキラしていた。、

ーーーーーーなんで僕は死のうなんて思った? なんの恨みや怒りや不満があったんだ?

その晩、自分の部屋で、真新しい勉強机と真新しい自分のベッドにランドセルを見ながら、ふと思った。

昼間、初めての教室で初めての先生からクラス全員に言われた言葉を思い出して、ベッドから下りて、ランドセルの中身を探った。

「あった!」

『じゆうちょう』と書かれている、何冊かもらった『ノート』と呼ばれるものの一冊だった。

幼稚園の先生から教わった『日記』を書こうと思い立ったのだ。

その幼稚園の先生は、『日記』を書くことの魅力を話すことで、文字や文章を生徒が自主的に書きたくなるようにしてくれたのだ。

だから、亘の幼稚園生は卒園近くには、大半が絵本が自分で読めて、簡単な『じぶんがつくったおはなし』が書けるくらいになっていた。亘に至っては加えて、子供向けの様々な『ふしぎシリーズ』、また、様々な『はじめてシリーズ』、そして色んな『どうわシリーズ』など他諸々を片っ端から図書館で読み、さらに覚えるくらい読み返してもいた。

つまり、亘は文系理系問わず、垣根なく好奇心旺盛、探求心旺盛な『よろずや 亘店』だったのだ。勿論周囲からの『質問箱』みたいな存在だった。

そして卒園記念に幼稚園から国語辞典が贈られた。

 けれど、そんな亘の小学校入学式の晩の小学生のノート第一号に書いた言葉は、

『後悔なんてこりごりだ』

の一言だった・・・。



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