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095 【不死】


 やっと真相を知ることができるのか。

 此度は死を回避できたようだ。

 まさか、『水遁の流し素麵』を発動することで好転するとは。


 これについては俺の機転でしかない。

 でかしたな、俺。

 

 だけどよく【女神エンジン】が忍術の発動を受理してくれたな。

 あれがなければ、どうなっていたことか。

 やっぱり殺されていたんだろうな。


 このことについても知っておきたい。

 もう過ぎたことではあるが。

 忍術も習得していない小さなコマさんを、全力で殺傷しようとするのだから。



「なぜ、全力攻撃だったのですか?」


「それはな、これまでもそうして来たからなのだ」


「これまでもって……!?」



 コマさんは、そんなに強いのか?

 だって忍術は持っていないんだろ。

 もしかしたら、体術が凄いのかな。



「驚くのも無理はない。その問いの答えは、つまり……不死だからだ」


「えっ?」



 何言ってんだよ、この人は。

 そう言いたいところなんだけど。


「不死身って意味だよな……」俺は思わずもらした。

 俺の囁く声を弥彦も忍びの聴力で拾ったようだ。

「うむ」

 彼は、飲み込むようにうなずく。



「そいつは……。サスケは、ワシなのだ」


「──ッ!?」


「さきも言うたが、ワシの知るサスケは「伊賀のサスケ」と「甲賀のサスケ」となるワシだけだ。2人だけなのだ」


「それじゃ、この七つのコマさんが伊賀のサスケだったのですか?」



 窮地を救ってくれたのだから味方じゃなかったのか。

 伊賀と甲賀は所詮、相容れぬ、ということなのか。



「けど、なんで? 年齢は近いのでしょ? 小さすぎないですか、この人?」


「これ、早合点しちゃいかん!」


「はい?」



 どういう意味だろ。

 そのサスケの話を持ち出すから、こう考えてしまうわけです。


 質問をぶつけずに黙って聞いて見るか。



「ワシでさえ未だに信じられない。グンがいま憑依しているサスケは、ワシだから。その子の実名はサスケだと答えたのだ。その訳はの、その身体はワシが分身の術で作り出した、ワシの影なのだ!」


「はぁ? か、か、影分身できるのっ!? キラ──ン!」


「お、おうともよ! どうしたのだ、その羨望の眼差しは……」



 分身の術と聞いて目を輝かせない忍者好きがどこにおるのだ。

 これは是非とも伝授して頂きたいものだ。


 それもあるが、そうじゃねぇんだ。

 分身か……。

 この時代に居た少年忍者のサスケは「弥彦サスケ」の分身?


 おい実体が無ぇじゃねえかっ!


 どこにログインさせとるんじゃ。

 そんなところに転生できるんかいっ!

 術を解けば、俺消えちゃうんじゃないの!?


 

 あんの、あほ女神があぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!

 



「まあ、その分身の影に長い間、苦しめられてきた。ここからすこし長くなるぞ」



 長くなると言い、弥彦は抜け忍として逃走していた十五の頃を思い返す。





 

 あの日、父親と二人、数人の追っ手に追い詰められた。

 逃げ込んだ雑木林。

 父、綱賀天内は十五の息子サスケだけでも生き延びて欲しい。

 そう願い、覚悟を決めた。


「サスケ、サスケ……」その名を幾度も叫ぶように呼ぶのだ。

 逃げろ、そして生きよ!

 父親が楯となり、囮となった。

 己を逃そうとするのが解った。


 自分の身代わりでただ一人の肉親がこの世を去る。

 その現実を想像することがとても辛かった。

 忍びの「さだめ」だとしても、孝行をしたいから辛い修行にも耐えて来た。


 父が殺される、そうはさせない。

 サスケ(弥彦)は天内の目の前に立ちはだかり、父が逝くならともに在る。

 天内は息子を背中から抱きしめて「馬鹿なせがれ」だといい、彼の目を塞いだ。


 もう終いだ。

 父も弥彦も死を覚悟した。

 ふたり互いに身を抱きしめ合いながら父も静かに目を閉じた。

 その時だった!



 ドン! ドドン!! ズドドドド──ンッ!!!



 2人の目の前に煙幕の玉が十数発飛来し、着弾した。

 そこに何かしらの異変が起きたのだ。

 甲賀者たちも横から要らぬ邪魔が入ったことに気が付いた。

  

 このとき伊賀のサスケが助っ人に参入してきたのだ。


 天内と弥彦は目を見開いた。

 目の前にいたのはひとりの少年だ。

 親子に背を向けた少年が、ふたりの窮地を救ったのだ。

 身のこなしから、彼も忍びだと分かった。


 

 逃げるだけの隙は作ってくれた。

「さあ今のうちに!」


 彼が逃げる親子の背後で応戦してくれている。

 天の助けかは知らないが2人は走りだした。

 死力を尽くして精一杯走った。

 その雑木林も爆音も見る見る遠ざかっていった。

 どこの誰だか知らない。

 なぜ加勢してくれるのかも分からない。


 安全圏まで走り抜き、乱れた呼吸を整えるとその彼がすぐ傍にいた。

 目を疑った。

 

 逃げて来た方角を見ると遠目に微かな爆炎が次々と立ち昇るのが見える。

 まだ応戦中だ。

 仲間がいたのか?

 天内がそう呟くと、


 傍に居た少年が口を開いた。



「あれは、おいらの分身だよ!」


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