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 や、やめてくれ!

 それだけは、やめてくれ!



「いや止めてくださいってばぁ────ッッ!!!」



 なんで?

 なんでなの?

 なんで今、流し素麵を撃とうとしているんですか!!?


 俺、また死ぬのかな!?

 大人の忍びだよね!

 外さないよね?

 殺すつもりですよね。


 絶対、敵意向けてますよね。ソレ?



「そう、何度も何度も。生まれたばかりで殺されて堪るかよ!」


 

 でも戦いに使えるスキルがねえし。

 このままでは駒次郎のときの二の舞になりそうだ。


 この弥彦という忍者、駒次郎をなんて呼んだ?

 駒だと言ったのか。

 子供をあやしい術で操っていたって言うのか。


 それとも、マジで人形か何かだと言うのか……。

 後者なら、殺す必要性あるか?



 いや何でもいい。

 それはもう、どうでもいいのだ。



 いまは逃げなければ、吹き飛ばされてしまう。

 弥彦がいまあの忍術を練りあげている。

 集中している、今のうちに遠ざかっている。

 さすがに簡単にはいかないな。

 離れようとして距離を置いても、すぐ詰められてしまっている。

 あいつは距離をうまく詰めながら術を練り上げている。


 油断していた。 

 くそっ。

 イシツブテになる石を拾っておけばよかった。


 あ、そうか!


 今度も石だったか。

 三つ巴の俺の石をすでに見ているはずなのに、何も問われなかった。

 最初から、不自然だったんだ。

 気づくべきことがそこにもあったというのに。


 わざわざ、俺が立ち去ろうとしたときに背後から声を掛けてきたのだった。

 ここに居るのであれば、いやここに居た。

 弥彦のシルシは置いてあった。

 だから奴は最初からこの場に潜んでいたことになる。


 そして俺が置いた石のシルシを確認したはずだ。

 師匠として声を掛けるなら、そのタイミングではないか。

 見張りながら動向を探っていたのか。


 馬鹿だな、俺は。

 つくづく間抜けなんだよな。



「わしのとっておきの忍術で跡形もなく消えたくなくば、答えろっ!」



 えええええ!?



「貴様はいったい何者なのか!? お前は誰だっ!? 誰なのだっ‼?」



 おいおいおい。

 これって駒次郎のときとそっくりじゃないか。

 なぜ、こうなるんだ。

 びびりながらも、強がりの返答をした。



「何者って言われて、答える忍びがいるかっ!」



 和解など求めても無駄のようだ。

 だったら、こっちだって啖呵を切ってやるんだ。


 また死ぬのかもしれない。

 だが今度は俺も学習させてもらってるからな。

 死んだって、すぐ復活してやるし。


 いいや、きちんと死なずに済むか試してやるさ。


 そっちこそ、身体が子供だからと油断してやいないか?

 してないか。

 むしろ、恐怖を覚えているぐらいだな。

 その証拠に奥義だといっていた奴で全力でくるつもりだ。



「そんなに聞きたけりゃ、冥土の土産に聞きやがれ! 駒次郎版開錠忍法、流しゴマ素麺……女神エンジンっ!」


「なんだって? それはなんだ、こけおどしか!?」



 もう後ろを向く必要もなければ、声を絞る必要もないからな。

 勿論こけおどしのつもりなんてないさ。


 そして、あんたがヒントをくれたようなものだ。

 その技は一度見ているし、経験済みなんだよ!



「俺をただのガキだと思わないことだ、弥彦さんよ」



 開錠忍法、流しゴマ素麵はすでに見ている。

 さきほど叫んでエンジンしておいたよ、その技を。

 忍術とは体得したもの、会得したもの、それ以外にもあるね。


 それ以外の描き出すやつをね。

 この時代の文字はすべて書けるようにしてもらったから。


 その技も、宙から水分をかき集めるようだから、そういう概念が存在するんだな。

 女神はこのエンジンのことを魔法だと言っていた。

 忍術も結果的には物理を含んだ魔法のようなものだ。

 俺が見たのは駒次郎版だけど。


 あの流しゴマ素麵の忍術をいま映像化してもらっている。

 眼前のモニターには再現されているところだ。



「エンジンよ、この技を書式化して目の前の空気に書き出すのだ!」



 空気には文字が書けると聞いたことがある。

 どうせテレビの知識だろうけど。

 SFドラマだった気がする。

 フィクションなんて、それこそ魔法みたいなものだ。

 だが俺はその魔法の道具を体内に宿しているのだから。


 あいつが撃ってくる前に発動が叶えば、勝てる。

 同時でも相殺だ。

 自分の記憶に秘められたものをさっきも取り出したじゃないか。

 目の前の紙に。

 具現化できるはずなのだ。



「女神が直接手を貸せないから、女神エンジンを貸し与えたのだ。なら、エンジンは俺の意思でしか動かないとも聞いていたあの言葉に納得がいく」


 

 やはり、そうだ。

 いま手の中にビシビシと感じてる。

 強いエネルギーをな!



「俺のは、練り込む時間なんか必要としねぇんだよっ! 喰らえっ! 忍法、流し素麵返しィ──ッッ!!!」



 空気中に含まれる窒素71.8%、酸素21%、微量の水蒸気。

 弥彦が水蒸気を忍術に取り入れているのだとわかる。

 窒素を化合物とすると火薬並みに爆発し、燃えるらしいからな。


 覚悟しやがれ。

 空気爆発で消し飛ぶがいい!



 しかし、殺めてしまったらアウトだったんだよな。

 ま、死なねえよな。

 弟子の術の威力だし。


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