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 ようやく盤次郎との再会が叶った。

 顔さえ分かれば今は充分だ。


 俺はこちらの部屋で待機している。

 上座の部屋との境目にある、ふすまが閉じられた。

 じきに報酬を持って旅芸人たちはここを去るのだろう。

 でも俺はここに身を潜めて居座るつもりだ。


 盤次郎に会いに来て、投獄まで経験したんだ。

 彼はここでの催しを終えるまで帰らないだろうし。

 俺だってこの会合に興味が湧いて来たところだから。

 こんなに良いご身分から将来なぜ宿の薪割りに身を落としたのか。

 気になるところだし。もう全部知りたい、見たい気分なんだよ。


 再会といっても、彼の方は何も知らないだろう。

 それは勿論、俺の事情であって駒次郎自身でもない。


 俺は本来、サスケとして出会いたかったのだが。

 こちらの都合が悪くなり、盤次郎との再会がこの形式になってしまったのだ。


 駒次郎として出会ったが、サスケの俺にすんなり心を開いて信用してもらうために、できるだけ事情を知っておきたいのだ。


 お里、駒次郎、盤次郎の三人の因果関係や親密度。

 幼少時の記憶……特に大切な想い出などをできる限り詳しく。

 そして未来に持ち帰り、必ず役に立てられるように。


 お?



 ピピピッ!




 ☆

 ゲーム化された世界へのログイン項目に、【時間軸の変更】が追加された。




  抜汐群 FILE 【女神エンジン版・江戸転生記】




 □駒次郎幼少期 ▷ニューゲームスタート (サブイベント)


 □駒次郎青年期 ▷ニューゲームスタート

         ▷コンティニュー   (メインイベント)



 

 受注イベント:『駒次郎と幼馴染を救出しよう』



 チャレンジ1  「ゴロツキと駒次郎」 救助に成功

 チャレンジ2  「駒次郎と命の洗濯」 やや成功

 チャレンジ3  「事情聴取 返済金と解決法を探る」 成功

 チャレンジ4  「蔵の鍵の偵察」 成功

 チャレンジ5  「選択:駒次郎と盤次郎」 駒次郎を選択


        忍びのスキルに頼り過ぎた結果、事故死

        任務失敗 スキル取得ならず

        おまけスキルを特別に授かる


       

 ☆




 ゲーム世界への入り口がメニュー化されたような紹介が入って来た。

 

 命の洗濯の部分は成功しきっていないぞ。

 命の洗濯が入浴だけにとどまらず、もっと広い意味で使われているためかな。

 恐らくこの段階でも彼らの窮状を脱する手立てがあったのかもしれないな。

 だがまずは情報収集が肝心だろ。


 事情聴取はうまくいった方だな。

 盤次郎に尋ねたのも正解だったんだな。

 おかげで金蔵破りが発覚したけどな。錠前を偵察したのも有効だったか。


 5は人選の方の選択だな。

 確かにあの時、盤次郎も選べたよ。

 だけど駒次郎が鬼強い忍者だなんて知る由もないから。


 なに? 事故死になっているだと!?

 そういう判定だったんだな。恐怖も残るがその方が誰をも恨まずに済むし。

 まあ駒次郎には俺を殺す動機はないかな。

 彼は別の誰かと元より格闘していて、あの場がその現場だっただけだ。

 この件は忘れてやらねばならないな。


 だが俺も彼の敵対者には要注意だがな。

 その敵は現時点でも存在しているのか、否か、見極めが必要かもしれないし。

 今回、そちらまで探り切れるかは分からない所ではあるが。



 何にしても、これは追加メニューなんだろか。

 これからは女神に頼らずともここで選択できるようになったってことだな。


 本来の人間には到底起こり得ない神の御業がこの身の仕様となっている。

 それが女神エンジンを有する俺なのだ。

 この特権を活かさない手はない。


 時間軸はあちらがメインで、こちらの過去はサブになるのか。

 メインイベントの進行が険しいので、サブに着手することになったようだ。

 正規ルート(メイン)以外はサブになるのかな。


 コンティニューは再開ということだから、あの続きからか。ちょっとやだなぁ。

 俺も…思い返せばゾッとする光景だ。

 それをコンティニューなんかしてみろ、息の根止めた相手がその場にひょろっと現れることになる。しかも、その祠の中からだからな。



 さぞ駒次郎がビックリするぞ。



 まあ、そこへ行く選択肢もあるわけだな。

 考えようによっては怖いゲームだが、面白いかもしれない。


 スタートというのは新規のことだよな。



「え、街道のあそこの出会いからやり直せるってことか……」



 その未来を経験済みで知っているのにか…。

 それだとあの惨劇の失敗を回避できる可能性が出て来るよな。


 ここで辛かった現場を客観視している内は、面白がっていられるけど。

 やっぱり怖いわ。


 もう死にたくないわ。


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